上写真=87分に投入されて90+5分に同点ゴール。マルティノスが大仕事をやってのけた(写真◎J.LEAGUE)
■2021年5月12日 明治安田生命J1リーグ第20節(@等々力/観衆4,752人)
川崎F 2-2 仙台
得点:(川)小林悠、三笘薫
(仙)中原彰吾、マルティノス
手倉森監督は 「ようやく仕事をしてくれたね」
前節の浦和レッズ戦を終えて、手倉森誠監督はマルティノスに「今日、何もしなければスタメンはない」と伝えたのだという。
そして、何かをしたのだった。
川崎フロンターレとのアウェーゲーム。ピッチに入ったのは、2-1とされたあとの87分だ。時間はほとんどない。だから、強引にでもゴールに向かった。90+5分、照山颯人の横パスをペナルティーエリアの外、中央付近で受けると迷いはなかった。得意の左足を鋭く振って、パワーのこもったスーパーショットをゴール右に突き刺した。
「照山選手が持ってゴールに向かっていったので、自分が受けるチャンスがありました。ワンタッチで前に出して打てたので、入ってよかった」
まさに目の覚めるような一撃だったが、手倉森監督の檄が効いたのか、と思うと、そういうわけではないようだ。
「特に何かを変えたわけではないですし、監督から言われても言われなくても、自分は常に100パーセントを出しています。監督と話をして、その意見をリスペクトしています。やらなければいけないのは100パーセントを出すことで、今日もそれができたから点が決まりました」
首位の川崎Fから勝ち点をもぎ取ることになったが、マルティノスに笑顔はない。
「毎試合、選手がかなりたくさん入れ替わるのでなかなか難しい部分はあります。今日の試合はコミュニケーションの部分でうまくいかなかった。でも、試合に出た選手全員を称えたいと思います。ここまでなかなか出番に恵まれなかったり、出場時間が少ない選手がたくさん出て、王者川崎を相手に自分たちの方が走って戦ってゴールを決めて、素晴らしい戦いでした。スタートから出た選手も途中から出た選手も素晴らしかった」
あのゴールは、そんな彼らの意地を形にしたものだったというわけだ。手倉森監督も「ようやく仙台に加入して仕事をしてくれたね」と独特の口ぶりで称えたのだった。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE