名古屋グランパスが連続無失点試合の記録を伸ばしている。明治安田生命J1リーグ第19節でサンフレッチェ広島を1-0で下し、これで第2節から続けてきた連続無失点試合は9になった。その守備の中心となる米本拓司が、改めて語る勝利への哲学。

上写真=堅守を司る3人。米本拓司を中心に、丸山祐市(左)とランゲラックで笑顔(写真◎J.LEAGUE)

「追いかけられるより追いかける方が楽ですね」

 9試合連続無失点でJ1記録を更新した名古屋グランパス。4月14日に前倒しで行われた第19節のサンフレッチェ広島戦で1-0の勝利を収め、これで8勝2分けの2位だ。

 そんな堅守のチームのピッチの中央で、攻守に重要な働きをするボランチとして、米本拓司が今年も存在感を放っている。8試合に先発出場、1試合は途中から、1試合はベンチで控えて、とほぼフル稼働だ。

 ここまで無失点を続けて記録も更新してくると、途切れたときの反応も気になりそうなものだが、「記録にはそんなにこだわっている感じじゃないんですよ」と米本。

「勝つためのサッカーをやってるので、記録がどうとかじゃなくて目の前の試合で勝ち点3を取るために最善を尽くしているだけです。僕は気負っていないしプレッシャーに感じていませんね」

 ただただ、一瞬一瞬に集中した積み重ねというわけだが、それには川崎フロンターレの存在が大きいようだ。これだけ勝ってもまだ追いつけない。でも、それがいいのだと米本は言う。

「離されないように、ぐっと食らいつきたいという思いもあって、試合終盤にきつくなっても最後まで走りきれています。追いかける存在があった方が自分たちが楽というか、追いかけられるより追いかける方が楽ですね」

新ユニット誕生でものすごいパワーに?

 その川崎Fとは運命のいたずらか、4月29日と5月4日に連続して対戦することになった。消化試合数は川崎Fが1試合多いが、勝ち点差はわずかに5。

「プレッシャーじゃなくてパワーに変えて、フロンターレ戦まで負けないように、そうすれば勝てば追いつけるんだという意識の中で、目の前の1試合1試合で勝ち点3を取れればと思っています」

 そのためにもまずは無失点を続けたいが、ここ2試合では興味深い選手起用が行われている。米本、稲垣祥、長澤和輝というリーグを代表するボランチ3人を同時起用して、堅い守備をさらに強固にしているのだ。

 第9節の大分トリニータ戦では米本と長澤が先発して、65分から稲垣が加わった。第19節の広島戦は米本と稲垣がスタートからプレーして、75分から長澤が投入されている。

「基本的に押し込まれている展開であのパターンになっていますね。難しいけれど、うまくはまればボールを奪ってから祥も和輝も前に出ていけます。あの形になったときにカウンターで一本いい攻撃ができれば相手は嫌がるだろうし、1点2点決めていきたいなと試合中に思っていました。守備の部分では僕がアンカーになって2人を前に出していますが、どちらも運動量が豊富ですし、横ズレも縦ズレも、もちろん斜めでもいろいろと動いてくれるので、僕がバランスを取って声を掛けながらやっていました」

 堅守の名古屋にまた新たな守備のユニットが誕生した。もしかしたら、念願のリーグ制覇へ向けたオプションとして、とてつもない力を発揮するかもしれない。


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