上写真=マッシモ・フィッカデンティ監督はFC東京とのドローにも「自信を持って続けていくべき」(写真◎J.LEAGUE)
「できたように見えてしまうこともあります」
名古屋グランパスの連勝が、ついに6でストップした。J1第7節でFC東京を迎えて0-0。
ただ、無失点は6試合連続を継続したし、ともに無得点だったけれど見どころの多いしびれるゲームだった。マッシモ・フィッカデンティ監督は「勝てなかった、という一言で東京戦を表現する必要はないのかなと思います」と振り返っている。
「東京には去年も苦しむ展開でしたし、攻守とも質の高いプレーをして、戦術的なサッカーができて、素晴らしい監督がいるチームです。今回も決して見ていて退屈するわけではなく、点は入らなくてもチーム対チームの駆け引きがあったゲームでした。私たちがそういうゲームもできるんだと前向きにとらえられるものでした」
息もつかせぬ攻守の応酬で、シュートも8本ずつ。いわば、納得のドローだった。だから、連勝が止まったというだけでフィッカデンティ監督の自信は揺らがない。オンライン会見の場で改めて、大きな自信について言及する場面があった。
「名古屋に来て作業して1年半たったところで、すべての面で強化しなければならないと言ってきました。ディフェンス力を上げることに傾いた作業をしてきたわけではありません。結果的にそういうチームにしたいという気持ちも一切ありません。攻撃面においても守備面においても、そしてサッカーは攻守だけで分けられないところもはっきりありますし、いろいろな部分での向上をチームに対して求めた中で、徐々に結果として出てきたと思います」
堅守速攻、とはよく使われる表現だが、それはあくまで全体の中の一部分を修飾したに過ぎない、ということだ。ここまでの失点1という大きな収穫についても、過信はしていない。
「取り組み方として、しっかり対戦相手がいた上で結果を出せてきました。(6試合連続無失点が)そのものさしになるんだといい意味でとらえた上で、やりたいサッカーを準備していきます。相手によってうまくいくときといかないときがありますし、やりたいことができなくても、相手によってはできたように見えてしまうこともあります。できているけれど、相手によってはほぼできていないように見えてしまうこともあるのです。サッカーは相手がいてこそのものです」
だから、次節の湘南ベルマーレ戦も先入観こそ危険だ。1勝2分け4敗の14位に沈んでいる相手だとしても。
「勝ち点3を落とさないようにどうやってやろうか、という、相手に失礼な態度で臨んだら痛い目にあいます。湘南もそういった相手の一つで、全力で湘南を見て戦います。私たちが強みにしなければいけないのは、すべての試合に集中する能力です。やりきった上でいいゲームをするためにいい準備をしたいですし、その感覚を選手も同じ温度で共有してくれています」
そうすることで、チームがどこに進んでいくべきかを見据えている。
「未来への成長が私には見えています。そのために、いろいろなアンテナを張り巡らせてやっていかなければいけないと思っています」