上写真=山崎凌吾は今季は先発出場も増えていて、横浜FC戦では今季初ゴールも決めている(写真◎J.LEAGUE)
「中央で崩す回数を増やしたい」
4月3日の第7節FC東京戦で引き分けて、名古屋グランパスの開幕連勝はついに6でストップ、仕切り直しとなった。
とはいえ、6勝1分けという成績は好調そのもの。そして、好調のいまだからこそ、進化の勢いを止めてはいけない。
「練習で競争がある中で、スタメンで選ばれた選手が責任を持ってプレーしています。前線の入れ替わりが激しいので競争しながら、ただ、得点数を見ると少ないのかなというのが正直な感想です。それを前だけの責任ととらえるのか、そこまでどう運ぶのか、チームで攻撃をオーガナイズするかを含めて、まだまだ改善するところはあると思います」
山崎凌吾はそう俯瞰する。柿谷曜一朗、ガブリエル・シャビエル、相馬勇紀、阿部浩之、マテウス、齋藤学、前田直輝など、攻撃の武器を持つ選手は山崎も含めて多士済々。組み合わせもさまざまで、だからこそ7試合で9得点という数字はもっと増やしたいのが本音だ。
そのために、山崎がまず個人として意識することの一つが「消える」こと。
名古屋自慢のサイド攻撃でクロスが入ってくるときには、「相手の背後に立つこと、相手から見られないところは意識しています」という。相手の視野から消える、隠れるという駆け引きだ。そして「あとはタイミングですね」。消えたあとにクロスを送ってくる味方のリズムと合わせれば、あとは蹴り込むだけ。
個人として「消える」のなら、チームとしては「現れる」がキーワードになりそうだ。特にFWとしては、中央のエリアでボールを引き出して存在感を示すことがいま、必要なことだと実感している。
「距離感をもう少し大事にして、中央で崩す回数を増やしたいと思います。そこに入れることによって(取られても)トランジションで奪い返せるかもしれないし、サイドをもっと有効に使えるのではないかと思います。縦に、中央に入れるところを意識して、入れてもらいたいときに自分がアクションを起こしたり、トップ下の選手や、2トップならもう1人のFWとの距離感を大事にしたい」
サイドアタックは名古屋の自慢。だが、相手も研究してくる。外と見せて中、中と見せて外、の繰り返しで相手の守備にほころびはできるし、そうすればサイドアタックの威力も増していく。
「試合によって状況はいろいろありますし、真ん中から突破するということだけではなくて、中央を経由することで、サイドの選手がクロスだけではなくてフィニッシュに関われるチャンスも増えてくるんです。そういう意味で中央につけるという話ですし、その意識は常にみんな持っていますね」
クロスに対して消えること、ビルドアップのときに中央に現れて起点を作ること。山崎が攻撃改革のためにできることは、何でもやる。