上写真=最高のクロスを送ってくれた古林将太(右)と歓喜の抱擁。山田直輝の一発が湘南を救った(写真◎J.LEAGUE)
■2021年4月3日 明治安田生命J1リーグ第7節(@日産ス/観衆:9,152人)
横浜FM 1-1 湘南
得点:(横)エウベル
(湘)山田直輝
「古林選手には何回もありがとうと伝えました」
先制を許した10分後の75分、山田直輝の意地の同点ゴールだった。
「相手が4バックだったので、2トップが前に入ってくれればあそこのポジションが空くのは分かっていました。古林がいいボールを送ってくれたから、入れるだけでした」
62分からピッチに入っていた古林将太が相手のクリアボールを拾うと、エアポケットのように横浜FMの守備陣が足を止めたスキにそのまま持ち運んでから、糸をひくようなピンポイントクロス。これをファーで待っていた山田が宙を舞うように跳んで、ヘッドでたたき込んだ。
「ゴールが目の前だったので、体ごと押し込むというか、枠に入れることだけにすべてを集中してシュートを打ったので、入ってよかったです」
10分前の65分、横浜F・マリノスに許した先制ゴールは、相手陣内で山田の不用意な横パスが奪われたのがきっかけだった。
「得点を取れたことは良かったですけど、失点の部分は自分のミスからやられました。何とか取り返してホッとしたというのが一番の感想で、チームに迷惑をかけたのが率直な気持ちです」
だから、素晴らしいクロスを送った古林には「感謝しています。自分の失点でチームを苦しめてしまったので、古林選手には何回もありがとうと伝えました」と頭を下げたのだった。
開幕3連敗で始まった今季は、なかなか調子が上がっていかないように思われた。だが、ルヴァンカップの横浜FC戦で1-0で勝って、公式戦でここ3試合は負けなしだ。それに、そもそもチームが低調だったというわけではない、と振り返る。
「チームとしては開幕から勝ち試合を負けていただけなので、特に何が変わったというのはないんです。勝ち点を拾えるようになってきたのが、開幕のころからいまに向かって良くなってきたところかと思います」
そのベースにあるのは、やはり守備だろう。横浜FM戦でもポストとバーに3度、救われたこともあるが、強力な攻撃陣を相手に1失点に抑えた。守備になると5人が最終ラインに並び、その前に中盤が3枚、そして2トップという3列の壁が横浜FMを苦しめた。
「去年の最後の方に積み上げられたものは、守備で簡単にやられないことでした。そこは継続してできています。攻撃の良さを出せる選手のアイディアが増えてきているので、すべて含めて簡単に負けるチームではないし、勝てるようになると思っていました。ピッチでは出せているけれど、勝ち点がついてきていないな、というのが率直な気持ちです」
上昇気流はつかみつつある。それを勝ち点で表現できつつある。それを示した横浜FMとの90分だった。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE