上写真=ゴールを決めて歓喜の雄たけびを上げる旗手怜央(写真◎J.LEAGUE)
■2021年3月21日 明治安田生命J1リーグ第6節(@埼スタ/観衆4,679人)
浦和 0-5 川崎F
得点:(川)小林悠2、レアンドロ・ダミアン、旗手怜央、脇坂泰斗
「これだけ連続で出たことはない」
川崎Fが2点リードで迎えた51分だった。後方から勢いよく相手のセンターバックとサイドバックの間にすっと入り込んだ。絶妙のタイミングでジョアン・シミッチからスルーパスを呼び込むと、ピタリと止めて右足でゴールに流し込んだ。冷静に股を抜く技ありの一発。シュートに至るまでの動き、そしてフィニッシュの精度は、いわゆる左サイドバックのそれではない。昨季までFWとして活躍してきた旗手の真骨頂だ。
「ジョアンがいいボールを出してくれた。相手のセンターバックがプレッシャーに来ているのが分かったので、速いボールで股を抜こうと思った」
本人に特別な仕事をしている感覚はなかった。左サイドバックながら中盤の中央で組み立てに参加することもあれば、攻撃で逆サイドまで出張することもある。目が向いているのはゴールだ。すでに2得点を記録。開幕から7試合で、6試合に先発フル出場。うち1試合も89分出場と、ほとんど休みなしで働いている。さすがに浦和戦の試合後は、ピッチでぐったりしていた。
「これだけ連続で試合に出たことはない。体はきつかったけど、やりきった感はある」
リーグは中断期間に入るが、旗手に休みはない。U-24日本代表に選出されており、東京五輪本大会のメンバー入りをかけてU-24アルゼンチン代表との試合に臨む。これまで五輪世代の年代別代表では主にシャドー(トップ下)でプレーすることが多かったものの、今回は果たしてどのポジションで起用されるのか。
本人は具体的なことには言及せず、気持ちを高ぶらせていた。
「ここまでやってきたことをやるだけ。自分がやれるプレーを100パーセントでやる」
代表戦でもしっかりアピールして、成長した姿を見せつけるつもりだ。
取材◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE