上写真=上島拓巳は攻撃力のある名古屋の前に立ちはだかった(写真◎J.LEAGUE)
■2021年3月10日 明治安田生命J1リーグ第3節(@三協F柏/観衆2,877人)
柏 0-1 名古屋
得点:(名)稲垣祥
「分断して考えるのではなく」
さすが理論派のセンターバックだけあって、説得力がある。柏レイソルの上島拓巳は名古屋グランパスを相手に喫した0-1の敗戦について、悔しさを押し殺して冷静に分析していく。
「サッカーの試合は個人に責任があるわけではなく、チームとして何か少しずつ足りないことがあって負けます」
確かにこの日、柏には守備でも攻撃でもあと一歩、というシーンが繰り返された。
「試合を振り返ると、失点のところがクローズアップされてしまうと思いますが、その前のボールの失い方や決めるチャンスを決めきれないこととか、チームとしてほんの少しだけ足りないことがここ数試合の苦しい試合につながっていると思います」
中盤で誘い込まれてミスを犯し、ボールをこぼしてから一気にゴールに襲い掛かられて、最後は柏の選手に当たってゴールに転がり込む失点になった。記録上はオウンゴールではなかったが、小さな「あと一歩」の積み重ねが黒星につながった。
だからといって、絶望しているわけではない。
「悲観することはないですし、少しずつ改善していけば我慢強く耐えて決められる試合も出てくると思います。攻守両面でかみ合っていけば自ずと結果はついてきます。守備が悪いから、攻撃が悪いからと分断して考えるのではなく、少しずつ改善していけると信じています」
個人としては、ビルドアップの不備が攻撃に悪影響を与えたと反省する。
「ビルドアップのスタートとしてセンターバックの僕と大南(拓磨)選手から効果的な配球ができませんでした。それがゴール前まで運べなかった原因だと思っています。後半はそこの入り口のところで改善して回す時間が増えました」
リスクヘッジとして、ボールを早く手放してしまった前半に比べて、確かに後半はバランスよくボールを大事にするリズムになった。その事実が上島の前向きな気持ちを後押しする。
「個人としてもチームとしてもミスが出てしまって、流れを引き寄せられない苦しい前半だったと思います。その中でチャンスを作られながらも、失点ゼロで前半を終えられたことは良かった。後半に自分たちのペースになってチャンスもあったから、ワンチャンスで決められたのはもったいなかったです。でも、やりたいことができた後半は改善されて良かったと思います」
後半に感じた好感触を大切に携えて、若きセンターバックの挑戦は続いていく。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE