上写真=試合後に悔しさを噛みしめる西尾隆矢。王者相手に大きなポテンシャルを見せた(写真◎小山真司)
■2021年3月3日 明治安田生命J1リーグ第11節(@等々力/観衆4,756人)
川崎F 3-2 C大阪
得点:(川)レアンドロ・ダミアン2、三笘薫
(C)大久保嘉人2
「個人技量はダミアンが上手だった」
無失点。そして3失点。セレッソ大阪の19歳のセンターバック西尾隆矢は、プロとして戦った2試合で早くも酸いも甘いも味わった。
開幕戦の柏レイソル戦は2-0の完封勝利、J1デビューを最高の形で終えた。中3日で迎えた2試合目は、昨季王者・川崎フロンターレとのアウェーゲーム。
「試合の前から、注意するようにと言われていた選手でした」という敵のFWレアンドロ・ダミアンと真っ向勝負することになった。しかし、そのダミアンに2ゴール1アシストを許す結果に。
「試合前は、こういう舞台で戦えることがいい経験になると思っていました。でも実際に戦ってみて、個人技量はダミアンが上手だったのは事実です。難しいクロスの対応はこれからもあるので、どれだけ守れるかが大事になってきます」
難しいクロス、とは、山根視来が送り込んだ2つのパスだ。7分の最初の失点は西尾から見て左から飛んできた高速クロスを目の前でたたき込まれた。47分の2つ目の失点も同じ左から、今度は逆にスピードを殺したループパスをヘッドで押し込まれた。種類の違う2つの球筋にやられた。
状態が悪かったわけではない。「1試合目よりは緊張感もあったけれどいい入りができて、チームでもそうでした」と感じていた。それでも「得点はできたけれど、リズムを崩して得点後すぐに失点したのは課題でした」と、大久保嘉人が5分に先制しながら7分に同点に追いつかれたことを悔やむ。
「自分自身がリーダーシップを取ってできることはあったと思います。こういう舞台だからこそ試されているから、チャレンジできたらもっと良かったと思います。前の選手が取ってくれたのに自分たちが失点して負けたから反省して、次の試合への課題が出たので直していきたい」
19歳だろうとプロ2試合目だろうと、リーダーシップを取る必要性をレアンドロ・ダミアンに、川崎フロンターレに痛感させられた。
「前線からの守備がすごくてそのプレッシャーに押されました。ビルドアップでルーズになってしまったので、まだまだ僕自身の技量が足りないです。ディフェンスラインのリーダーシップを僕が取れればラインもつくれますし、シンプルなミスがビルドアップの部分であります。自分が守りやすいように自分からもっとコーチングしなければいけないし、球際のところや細かい駆け引きはまだまだです。しっかり判断してやっていかないと」
川崎F戦の前にはセンターバックでコンビを組む瀬古歩夢が、アカデミー出身の2人でプレーすることでいまの育成の選手たちに夢を与えられると言った。そのための貴重な瞬間をいま、西尾が生きている。
「試合の前から苦しい時間が続くとは聞いていました。いかに守れるかという大事さが改めて分かった試合でした。そういうところで自分たちがどれだけ耐えられるかが大事で、僕を含めてディフェンスの4人でリーダーシップ取らないといけないと思います」
心から湧き出る熱々のリーダーシップを、これからのプロサッカー人生に生かしていくつもりだ。
取材◎平澤大輔 写真◎小山真司