上写真=富士ゼロックススーパーカップではインサイドMFとして先発した脇坂泰斗(写真◎J.LEAGUE)
今季はセットプレーも大きな武器に
今季、川崎Fは間違いなく、包囲網を敷かれることになる。記録づくめの優勝を果たしたチームに連覇を許すわけにはいかないと、当然ながら他チームは『対川崎F』を意識してシーズンインするはずだ。今季から副キャプテンを務める脇坂も「対策はされると思う。でもそこで相手を崩せるようなチームになっていかないと、やっぱり連覇には届かない。さらにACLで勝ち切ることも難しくなってくる。引かれた相手にでもしっかり崩せるように、やっていきたい」と、状況を予想していた。
ただ一方で、そんな状況を打ち破るだけの自信も携えている。それは昨年からの積み上げがある中で、充実のキャンプを過ごし、しっかりと準備を整えられたからだ。昨季終盤に不動のアンカーとなった守田英正が移籍し、心配された中盤の再構築についても、ここまでは順調に進んでいる様子。ゼロックス杯ではジョアン・シミッチが同ポジションで先発し、途中からは田中碧が務めたが、インサイドMFでプレーした脇坂はその関係性について「キャンプから意識してトレーニングしてきた」と明かした。
「ジョアンが動いたところを僕だったり、碧だったりが使うというのはキャンプからやってきました。そこで碧が入るのであれば自分が(レアンドロ・)ダミアンの近くにいたりとか、前に人がいないと進めないので、そこは意識していました」
まだまだコンビネーションを深める必要はあるものの、3人の関係性そのものはスムーズだった。左利きのシミッチのパス出しが左に偏りがちになった点など改善の余地はあるものの、3日後の練習では意識的に右にボールを配るなど、すでに修正も見られた。そのあたりもしっかり話し合い、共有されている模様。向上に余念がない。
さらに今季はシミッチや塚川孝輝の加入でチームは『高さ』を手に入れた。セットプレーのキッカーでもある脇坂には歓迎すべき状況が整ったと言える。「ジョアンもそうですし、もともといた(谷口)彰悟さん、山くん(山村和也)、ダミアン、ジェジ(エウ)、孝輝くんも身長が高いですし、(これまでとは)全然違うなと。紅白戦でやるときは相手側も高いので、迫力もありましたし、去年から積み上げてきたサインプレーもありますし、セットプレーは試合を大きく分けるところでもあるので、キッカーとして責任をもってやりたい」と本人も『蹴り甲斐』があることを認め、セットプレーを今季の大きな武器にしたいと話した。
いよいよ迎える開幕戦を前に「やっぱりスタートから首位を走り続けて、リーグを引っ張っていってかつ優勝したいという思いがあるので、開幕戦からホームで何試合かありますけど、そこからどんどん勝ち点を積み重ねていきたいと思います」と意気込みを語った脇坂。横浜FMとの神奈川ダービーを制し、連覇へ向けて走り出す準備は、万端だ。