上写真=54歳になった翌日に開幕戦。カズは今年もプロとしてシーズンを駆け抜ける(写真提供◎YOKOHAMA FC)
ストレスなく、好きなことを
カズこと三浦知良は2021年2月26日、54歳になった。プロフットボーラーのままで。
「ストレスなく自分の好きなことをやることじゃないですかね」というのがアクティブに「仕事」を続ける原動力だというが、息詰まるばかりの社会へ向けたアンチテーゼのようにも聞こえる。
変わらない、ということは難しいから尊いのだ、ということを教えてくれる。
「54歳での抱負は、特にないですね。54歳になった感想はなくて、毎日毎日自分がサッカーにどういう気持ちで向き合えるかを感じてやっています。もうシーズンも始まりますけれど、開幕に向けていく気持ちは毎年毎年変わらないんです。良いシーズンを迎えるように準備してきましたし、常にやってくる試合を目指して進んでいきたいと思います。
年齢に関してはいまさらない(笑)。54歳になったんだなあ、ということしかないですね」
情熱は言葉ではなく行動で示すしかないのだ。
今年はコロナ禍のため恒例のグアム自主キャンプは行わず、沖縄で調整した。そこから横浜FCの和歌山キャンプ、宮崎キャンプを経て、準備に余念がない。
「ここまで順調に来ていると思います。練習試合もすべての試合に出場できて、その中で納得のいくプレーもありましたし、そうではない試合もありました。
練習試合ではゴールは挙げられなかったんですけど、ペナルティーエリアの中で決定的な場面に絡んで、でも自分がちょっとゴールを取りたい気持ちが強くて外したのが何本かあったんです。そういう場面はここ何試合かで増えてきていますし、味方とのいい距離感でできるようになりました」
支えになっているのは、「気づき」だという。プロとしてどれだけ長く続けていても、自分では気づかない好プレーをスタッフから指摘されることが、日々の上積みの種になっている。
「練習試合の後に個別にいいシーンと悪いシーンを8から10シーン集めてもらって、コーチからマンツーマンで指導を受けているんです。意見をもらったりして自分では気づかないような、いいプレーではないと思っているものでも評価されるシーンが増えてきて、前向きになれます。
パフォーマンスが良かったか悪かったかは別にして、コンディションはいまは開幕に向けていい準備ができて、いい状態にあると思います。それがいいパフォーマンスにつながっていくのは味方との関係や試合状況によっても変わってくるので、そうなるように努力していきます」
今年はFW陣がごっそり入れ替わる形になり、クレーべ、渡邉千真、伊藤翔、ジャーメイン良と実力派が加わった。
「彼らよりも試合に出るには、決定力、ゴールをコンスタントに挙げなければいけないのではないかと思います。Jの試合でもそうだし、普段のシュート練習でも紅白戦でも練習試合でも、ゴールというものが一番のアピールになります」
そこにゴールがある限り、プロフットボーラー三浦知良は生き続けるのだ。