開幕まで1週間と迫る中、新戦力のエウベルや喜田拓也など故障者が出ているが、横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督に焦りの色は見られない。着々と準備が進んでいると話し、チームの仕上がりに自信を示した。

上写真=オンラインで取材に応じるポステコグルー監督(写真提供◎横浜F・マリノス)

新陣形テストもべースは変わらない

 横浜FMは今季、前からボールを狩りにいくだけではなく、ケースバイケースで、一度守備をセットしてからプレスに行く形も磨いている。柔軟な戦い方の実践が覇権奪回には欠かせないとの考えから、指揮官は新たに3-4-3のフォーメーションも採用し、キャンプでトレーニングを積んできた。ただし、「特に大きく変えてはいない。自分たちが貫いてきたものがベースにあり、今は少し試していることがある」とその意図を説明。「シーズン開幕後にケガ人が出るなど変化があったときに、自分たちが柔軟性を持って戦えるかが重要。そのためにいろいろとトライしている」と語った。

 解釈するなら、アタッキングフットボールを実践することには変わりなく、その信念を貫くために変化を加えたといったところだろうか。ボールを奪わないことには攻撃はできず、簡単に失点を重ねるようではいくらゴールを集めても勝利につながらない。いかにボールを奪うか。守備を安定させるか。そして従来の攻撃力を維持するか。それらすべてを勘案した結果が新システムの採用だろう。

 気がかりなのは、キャンプ終盤にさしかかり、ケガ人が出ている点だが、それについては指揮官に全く動じるところがなかった。甲府とのトレーニングマッチでエウベルが負傷。喜田拓也やマルコス・ジュニオールも負傷を抱えているものの、「今のところ全体的にいい形で調整できている。喜田、エウベル、マルコスと何人かケガ人はいて、エウベルは開幕には間に合わない可能性もある。間に合わせることができるかもしれないが、焦らずに治してほしいと思う。自分たちのサッカーを学んでもらい、開幕後に準備が整えば」と話した。

 もちろんベストメンバーで臨むことが望ましいが、今季も昨季ほどでないにせよ、ハード日程が待っている。必然的に今後もケガ人は出るかもしれない。そうした不測の事態に対応できる柔軟性こそがリーグ制覇のポイント。だからこそ総力戦に備えてチームの総合力アップに力を注いできた。

「去年同様にタフなシーズンになると思う。スケジュールもタイトだ。自分たちは去年、きつい経験をしたが、今年は降格があるということで、いろいろなチームが勝ち点にこだわりプレーするだろう。毎回メンバーを替えることも少なくなることが想像でき、1試合1試合が大事な競争のあるリーグになると思っている」

 あらゆる事態に対応し、着実に勝ち点を加えていくことが肝要だ。しかも目指すのは勝ち点1を拾うことではなく勝ち点3を獲得すること。圧倒的な攻撃力で勝ち切った2019年シーズンの再現ではなく、それ以上の結果を求めて、ポステコグルー監督と選手たちは開幕へ準備を進めている。


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