上写真=新シーズンは副キャプテンを務める脇坂泰斗(写真◎KAWASAKI FRONTALE)
悪い時にどれだけ仕事ができるか
脇坂は、登里享平とレアンドロ・ダミアンとともに今シーズンから副キャプテンを務めることになった。長らくチームをけん引してきた中村憲剛がスパイクを脱ぎ、自分よりも年下の選手が増えた。自らがチームを引っ張っていかなければならないと自覚し、始動から積極的に声を出してトレーニングの臨んでいた。
沖縄キャンプで鬼木達監督から『もっともっとチームを引っ張って、成長につなげてほしい』と言われ、「ありがたく引き受けさせてもらいました」。その姿勢を指揮官も感じ取っていたのだろう。脇坂は並々ならぬ覚悟を持ってプレシーズンをスタートさせている。
「一昨年から試合に出始めて、昨シーズンは1年を通して試合に絡めたことは大きかった。(中村)憲剛さんも引退されましたし、年下の選手も多く入ってきて、もっともっとさらにフロンターレを強く、幹を太くしていかなければいけないという思いがあります。その意味でも、下から、若い選手が台頭していくことでチームも強くなる」
昨季は31試合に出場し、3ゴール。2019年の18試合から出場数を大きく増やした。先発出場数にも12試合から25試合へと倍増した。得点は5得点から2点減ったが、それはトップ下でプレーすることが多かった19年からインサイドハーフへとポジションが変わったこともあるだろう。その代わりと言ってはなんだか、アシスト数は3から6に増えている。ただ、本人はチームの主軸を担う存在となっても、まだまだ先を見据える。課題を整理し、新シーズンに臨むつもりだ。
「どちらかというと、(昨季は)課題の方が多かった。シーズンを通して波のない選手はいないですが、自分の満足いく安定したプレーというのは、まだまだ。良い時はもちろんみんな良いので、悪い時にどれだけ仕事ができるか。昨シーズン初めて1年通して試合に出られたというのが経験としてあるので、それを今シーズンに生かしたい」
うまくいかないときに、先頭に立って勝ち筋を見つけるような選手になることが理想だろう。「あまりボールがうまくつながらない状態であれば、自分のところにあれば大丈夫だよねというような安心感を与えるところまでいけるように頑張りたい」。言わば、絶対的な存在。ピッチにいるだけで、仲間に安心感を与え、チームに落ち着きをもたらす。そしてもちろん、勝利に導く。そんな選手になることを目指している。
「僕ももう若くないので。毎年毎年、毎日毎日が勝負だと思ってやっていますが、今年でさらに成長できるようにしていきたい」
開幕まで2週間を切った。より強いフロンターレのけん引車になるべく、脇坂は準備を整えている。