また一人、楽しみな高卒ルーキーがプロの門を叩いた。前橋育英高からヴィッセル神戸に加入したのが、櫻井辰徳。ボランチとして左右両足から繰り出す長短のパスで操るコンダクターだ。世界的名手の揃うクラブで持てる力を思う存分ぶつけるつもりだ。

上写真=爽やかにプロ1年目の抱負を語る櫻井辰徳。そのパスセンスで勝負する(写真◎VISSEL KOBE)

「蛍さんのいいところは盗んでいこうと」

 最初から最後までまぶしい笑顔だった。1月25日、プロとして最初のトレーニングを終えたあとのオンライン会見で、初々しく、しかし力強く「1年目から数多く試合に出られるように練習からアピールして、頑張っていきたいと思います」と宣言した。

 前橋育英高から加入したルーキー。昨季、練習に参加して10月には特別指定選手として登録もされていたから、いぶきの森のピッチも見慣れた光景だったかもしれないが、当時は「遠慮していたところもあった」と素直に明かす。しかし、チームが始動して正式にチームのメンバーとして加わったトレーニングでは、プロとしての意識のスイッチを入れた。

「もう練習生ではなくて全員がライバルだと思って、自分のプレーを出していこうと練習に入りました」

 前橋育英高では主にボランチとしてゲームをコントロールしてきた。そこで培ってきた自慢のプレーは「武器とするところは左右両足の長短のパスで攻撃を組み立てたり、パスで試合を決めるプレーを得意としている」ところだと胸を張る。どちらの足でも正確に蹴ることができるので、セットプレーのキッカーも務めてきた。だが、プロとして独り立ちするにはまだ足りないことがあるのも十分に認識している。

「ボールを失わないところと判断の部分は、同じ新加入の(井上)潮音君を見てもうまいな、自分はまだまだだなと思いました。判断のところは自分も真似していくというか、慣れていかなければいけない部分です。少しずついろんな選手から盗んでいきたいと思いました」

 学ぶべき存在として、まっさきにアンドレス・イニエスタの名前を挙げそうなところだが、そうではなかった。

「身近に山口蛍選手という代表レベルの選手がいて、他にもボランチで自分にとって学べる選手は多いと思います。特に蛍さんのいいところは盗んでいこうと考えています」

 まだまだ線も細くて山口のようなガチムチには至っていないが、判断力を磨くために山口を最高のお手本にするつもりだ。

「1年目から遠慮せずに自分のプレーを出して、競争というか、まだまだ他の選手に追いついていないけれど、数多くの試合に出て1年目からタイトル獲得のチームの目標に貢献できるように頑張っていきたいと思います」

 常に笑顔でいられるということは、いつでもポジティブだという証拠だろう。前向きな清々しさという櫻井らしさで、プロの荒波に漕ぎ出していく。


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