ファーへのシュートとヘディングを磨く
――驚いている、という感想は少し意外な感じもしますが、プロの世界で活躍できると確信した瞬間はいつでしたか。
三笘 プレシーズンのときから多くの練習試合を重ねてきましたが、そこで手応えはあったので、もちろんプロの舞台と練習試合は違うとは思っていましたけれど、その時点で自分の特徴は出せると思っていました。その反面、守備の部分でチームに求められる役割を果たせていなかったので、そこを埋め合わせる部分と特徴を出し続ける部分にフォーカスしながらやってきました。
――見事な13得点の中で印象に残るゴールを挙げるとすると、どれでしょう。
三笘 お気に入りのゴールはホームのセレッソ戦で相手の股を抜いてニアに決めたシュートですね(8月19日第11節、75分のチーム4点目。最終的に5-2で勝利)。ボールを持った瞬間に、(小林)悠さんが相手を引き連れて動いて自分が入るスペースを作ってくれて、ボールを受けて、シュートを放つところまでイメージがすべて体現できたので、イメージ通りのゴールだったと思っています。
――チームはこの試合で新記録となる10連勝を達成しました。自身はこれが今季5点目。普通ならファーに流しそうなところを、あえて角度をつけて相手の股下を抜いてニアに打ち込みました。
三笘 そうですね、でも逆にファーへのシュートが多くないので、もっとファーのシュートを見せられればニアのシュートも使えますし、最後の方はニアのシュートが相手に当たるシーンも多かったので、来シーズンはもっともっとファーサイドへのシュートを磨いていきたいと思っています。
――新人最多ゴールに並ぶ13点目をヘディングで決めたことが印象的でした(12月16日の第33節浦和レッズ戦59分)。その前のサガン鳥栖戦でヘディングシュートに失敗していたからですが、すぐに修正しました。
三笘 前節ではボールに勢いあったところに自分で頭を振りにいって、ミートできませんでした。そこは(中村)憲剛さんにも言われたんですけど、すぐに自分で修正できるところだったので、浦和戦ではあのシチュエーションで力むことなくボールに当てることだけに集中しました。1週間で修正できたことは良かったと思います。ヘディングは自分でも苦手ではないので、うまく使っていけばコーナーからだったりうまく叩きつけるシュートだったりタイミングをずらして跳べば勝てるシーンもありました。クロスに入っていってヘディングでゴールを決める数を増やせば、もっと脅威になれると思っています。
――新記録となる14点目、正直なところは、ほしかったのでは?
三笘 もちろんです! 最終戦の柏戦で後半から入ったときは0-1というシチュエーションだったのですが、すぐに2失点目をしてチームとしても良くない形だったので、チームとして逆転するというところで得点やアシストができればと考えていました。相手の立ち位置を見てどうやって崩すかを考えてプレーしていれば、あとから結果でついてくると思っていたので、どうしても自分がゴールを決めなきゃと考えていたわけではありません。その中で2アシストで逆転に貢献できたのは良かったですし、もちろん決めるべきチャンスがあって、決めきれないのはまだまだだと思います。
――そんな素晴らしいルーキーシーズンを終えたいまのこの場所から、1年前の自分に伝えたいこと、1年後の自分に伝えたいことを教えてください。
三笘 1年前は自分の中では苦しいというか、なかなかチーム(筑波大)も勝てずに自分も成長している実感がなかったので、「地道にやっていいぞ、これを継続していくべきだ」と言いたいと思います。1年後の自分に言うならば、「1年前である今日からどれだけ成長しているだろうか」と聞きたいですし、「いま自分はどこにいるのか」と言いたいです。それがいま思っている以上のところだとうれしいですし、思っている以下であればよくないと思うので、常に自分に期待しながらそういう言葉をかけたいと思います。
構成◎平澤大輔