上写真=引きあげてくる中村憲剛を笑顔で迎える鬼木達監督(写真◎J.LEAGUE)
選手が躍動する姿を見たい
優勝を決めたあとのアウェー2試合は、ともに引き分けに終わった。31節の清水戦は2-2。32節の鳥栖戦は1-1。勝ち切れなかったこの2戦について、鬼木監督はどう感じているのか。
「優勝は手に入れましたが、記録というものにチャレンジしていく中で、もしかしたらもっと明確に、数字的なものを示したほうがよかったのかもしれません。モチベーションは持っていますけど、それだけではなくて、目の前の試合に勝つという執着心を、自分自身も含めて選手にもっともっと注ぎ込まないといけないのだと、そこは自分の反省があります」
リーグ優勝が決まったあとで、気持ちを保つのは難しい。言わば、消化試合。その中で川崎Fは記録への挑戦をテーマに戦ってきた。「優勝後が大事」という考えをチームで共有してもいる。しかし、チャンスがありながらも優勝直後の2試合は引き分けた。本日16日のホーム最終戦を前に、だから指揮官は気を引き締める。
「まず整理しなくてはいけないところは気持ちの部分。優勝したそのあとのゲームが大事だと話をしている中で、決して気持ちが入っていないわけではないんですが、一つ一つのこだわるところ、例えば攻撃であれば、もっとゴールに執着しなくてはいけない。そういうところを改めて自分は感じています」
「今季はチーム全員で戦って勝ってきた。スタートの選手も、あとから出る選手も、パワーを発揮しながらチームに勢いをもたらしてきたという思いもある。そこは今後も変わらず、と思っています。この前のゲームで言えば、全員でもっともっと(ゴールを)取りに行かなくてはならないし、点が入らないのであれば、やはり全員で、もっと守備のところでアラートにならなくてはいけなかった。そこが足りなかったと思います。自分がマネジメントできたところでもあります。選手もそうですし、自分も含めてもう一回、全員で、という思いが今はあります」
気を引き締めて「全員で」臨む浦和戦は、準備期間が短いこともあり、「相手がどうこうよりも自分たちにフォーカスする」と指揮官は話す。そのうえで、強い思いを口にした。
「今シーズンは本当にいろんな方から、選手がよく頑張っているねと褒められてきました。だからこそ最後をどうやって締めくくるかというのが大事だと思います。まだやっていることは発展途上ではありますけど、今、自分たちがやってきていることの最大限の、集大成というか、そういうものを見せなくてはいけない。そこにつながるのは得点だと思います。簡単な相手ではないですけど、でも我慢強く焦れずに、(積極性を)前面に出していければ。とにかく選手が躍動する姿を見たいと思っています」
浦和戦は、今季限りで引退する中村憲剛にとってのJリーグにおけるホームラストゲームでもある。
「フロンターレを支えてきてくれた選手なので、そこでいいプレーを見せてほしいと思いますし、選手に対してもそうですし、サポーターの方にも、印象に残るようなゲームになればいいなと思います。選手も誰も言葉にはしないですけど、一丸となっているのは間違いないと思います。等々力のリーグ戦はこれが最後なので」
2020年のフロンターレの集大成を、今夜、ホーム最終戦で見せる。