明治安田生命J1リーグでAFCチャンピオンズリーグ出場権を狙う柏レイソルは、同じ目標の名古屋グランパスと決戦。しかし、ミスから失点して手痛い敗戦に。最終ラインを預かる大南拓磨は、自らの発信への意識を高めなければと痛感している。

上写真=ミスからの失点を悔やんだ大南拓磨。自身にも迷いがあったと話した(写真◎J.LEAGUE)

■2020年12月5日 J1リーグ第31節(@三共F柏:観衆4,991人)
柏 0-1 名古屋
得点者:(名)相馬勇紀

「カウンターが出せなくなってしまいました」

 もどかしい黒星になった。それほど決定的なピンチを迎えたわけではない。相手はスペースを消してきてリスクを冒さず、堅くまとめてきた。しかし、引き分けはおろか、なぜか負けてしまった。

 AFCチャンピオンズリーグの出場権が与えられる3位以内を目標にする両チームの激突は、拮抗した戦いになることは明らかだった。

「失点しないことを意識して入りました。失点しなければ負けることはないので」

 3バックの右に入った大南拓磨のプランはこれだった。最初の45分は無失点で過ごすことができたが、後半に入って間もない51分にまさかの失点を喫してしまう。柏から見て左からのクロスに対して、北爪健吾と重なるようになったGKキム・スンギュがキャッチし損ねてこぼれ、相馬勇紀に押し込まれてしまった。

 ネルシーニョ監督はこの失点を「シンプルな話」と表現する。

「失点はコミュニケーション不足です。北爪とスンギュがコミュニケーションを取れれば防げました。シンプルな話です。ボールに近い選手が対処しなければいけなかったわけで、キーパーとサイドバックのコミュニケーションミスで喫した失点です。名古屋が素晴らしかったわけではなく、明らかなチャンスを作っていませんでしたから」

 大一番で、基本的なミスによって自分たちから崩れてしまった。これでさらに難しくなると大南も感じていた。

「失点して相手がラインを引いてブロックを作って守ってきたので、スペースを消されてうちの良さであるカウンターが出せなくなってしまいました。改めて、失点しないことが大事だと痛感した試合です」

 堅守自慢の名古屋に1点を与えれば、ますます守備を塗り固めてくる。だから、不可思議な失点は物事を難しくするのだと、大南はまたもや痛感した。最終ラインを預かるディフェンダーとしては、ミスによる失点は悔やむに悔やみきれない。

 名古屋は前線で阿部浩之、ガブリエル・シャビエルが捕まえにくいポジションを取ってくる。そこにサイドハーフのドリブラー、相馬勇紀とマテウスが絡んでくる。大南から見ると、阿部が来るのか相馬が来るのかで手こずった。

「自分自身のコーチングでなんとかなったところもあるんですけど、自分自身も行くか行かないかの迷いがありました。自分からもっと周りに積極的に発信して、自分がやりやすい守備にできればよかった」

 同じサイドでワイドにプレーした北爪やその前のクリスティアーノに、どこまで守備に戻らせるのか。それを、大南自身がコントロールしなければならなかった。

 残りは4試合。「発信力」を鍛えて、一つでも上の順位を目指していくしかない。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


This article is a sponsored article by
''.