AFCチャンピオンズリーグ(ACL)が再開した。日本勢のトップを切って試合に臨んだFC東京だったが、上海申花とのグループステージ第3節で惜敗。ボールを保持しながらも攻めあぐね、PKによる失点で黒星を喫することになった。

上写真=上海申花のシンプルな攻めとラフな守りに苦しんだFC東京。0-1で悔しい敗戦を喫することになった(写真◎Getty Images)

■2020年11月24日 ACL第3節
(リモートマッチ/@カタール・エデュケーションシティ・スタジアム)
FC東京 0-1 上海申花
得点:(上)ユー・ハンチャオ

・FC東京メンバー:GK波多野豪、DF中村帆高(74分:中村拓海)、森重真人、ジョアン・オマリ、小川諒也、MFディエゴ・オリヴェイラ(90+1分:田川亨介)、高萩洋次郎(74分:渡辺剛)、安部柊斗、東慶悟(90+1分:三田啓貴)、FW永井謙佑(63分:アダイウトン)、レアンドロ

・上海申花メンバー:GKリー・シュアイ、DFジュー・ユエ、ステファーヌ・エムビア、フォン・シャオティン、ワン・ウェイ(65分:ジュー・バオジエ)、MFジャン・ルー、キャン・ジェジェ(90+2分:ジャン・シェンロン)、チン・ション(65分:ビー・ジンハオ)、スン・シーリン(65分:ポン・シンリー)、ユー・ハンチャオ、FWガオ・ディ(49分:ジュ・ジエンロン)

次の90分で逆転できるようにしたい(長谷川監督)

 相手のラフなプレーに手を焼いた。前半からボールを保持し、敵陣でプレーする時間が長かったFC東京だが、厳しく体を当てる上海申花の選手たちのプレーの前に、決定的な仕事はさせてもらえない。ファウルも辞さない相手の激しさに、ボールは握っても試合のペースまでは握れなかった。

 ポゼッションで優位に立ちながら相手ゴールになかなか迫れない展開の中でも、39分には小川のクロスにD・オリヴェイラが体ごと飛び込んであわやの場面を作る。だが、相手GKの好守に遭い、ゴールを挙げることができなかった。ラストパスやシュートの精度を欠き、結局、前半はスコアレスで終えることになる。

 迎えた後半、先にゲームを動かしにかかったのは上海申花の方だった。49分、65分に2回の交代で4人を投入。フレッシュな選手を加えて攻めに重心を傾けた。そんな相手に対して、FC東京に一瞬のスキが生まれる。70分の相手のFKの場面。エムビアの蹴ったボールがFC東京の最終ラインの裏まで到達。ユー・ハンチャオにタイミングよく抜け出されると、右サイドバックの中村帆が思わずつかんでボックス内で倒してしまった。PK献上。これをそのユー・ハンチャオに決められ、先制を許した。

 FC東京は高萩に代えて渡辺、中村帆に代えて中村拓を投入。渡辺がCBに入り、CB森重を中盤に上げて攻撃の流れに変化を加えていった。終盤はFC東京が上海申花のゴールに何度も迫ることになり、押せ押せの時間を生み出す。だが、ネットを揺らすまでは至らない。最後の最後で体を張る相手を突破できず、試合はそのまま決着することになった。

「初戦ということで、ACLを初めて戦う選手が何人か出ていて、やはり少し大会に入れていない選手もいたので、今日戦ったことによって、次の試合は試合に入れるのではないかと思っています。
 決定機は何回か作れましたので、そういうところは次の試合で生かしたい。最後の精度、ラストパスとか、お互いのコミュニケーションを取りながらそういうところは合わせていきたい。次も同じ相手。180分の戦いの前半が終わったとわれわれは考えています。残りの90分で逆転できるように戦っていきたい」

 この試合の結果、FC東京はグループFの3位に転落したが、長谷川健太監督は敗戦を受け止め、すぐに次の90分に視線を向けた。内容を見れば、攻めあぐねてワンチャンスをモノにされた格好。相手の狙いにまんまとハマった悔しい敗戦だ。しかし、まだ何も終わったわけではない。はっきりしたのは、中2日で再び戦う上海申花とのグループステージ第4節が極めて重要な意味を持ったということ。

 攻め手は決して多くないが、愚直でタフに戦う相手に、どう対峙していくのか。ラフなプレーにイライラして墓穴を掘るようなことがあってはならないだろう。それこそが相手の狙い。今回の試合では球際バトルで上回り、切り替えの早さで圧倒する東京が求め追求してきた『らしさ』は出し切れなかったが、いま一度、プレーを整理することが肝要かもしれない。

『やるべきことはシンプル』『特別はいらない』『普段通り』。それこそが戦前、指揮官が「ポイントになる」と繰り返していたスタンスだった。アジアの舞台でも、東京らしく。

 ネクストステージの扉を開くために、27日の上海申花戦は負けられない。


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