明治安田生命J1リーグはいよいよ最終局面。川崎フロンターレは11月21日の大分トリニータ戦で勝てば優勝が決まるところまで来た。アンカーとして超攻撃サッカーを支えてきた守田英正の「小さな作業」にスポットを当てる。

上写真=川崎Fの猛攻撃は守田英正の力があってこそ(写真◎Getty Images)

自分たちの力で決められるのは思い描いていた展開

 さあ、王手だ。超攻撃サッカーで席巻してきた川崎フロンターレが、いよいよJ1リーグ制覇を目前にしている。

 派手な攻撃が見る者を楽しませてきたが、気持ちよく攻めるその裏に、アンカーである守田英正の献身があることは、川崎Fのサポーターにはよく知られている。

 今季、完成を試みてきた4-3-3のフォーメーションで、肝になったのが中盤の構成。相手の攻撃や立ち位置、試合展開によって変化するものの、アンカーの前にインサイドハーフが2人構えるトライアングルが内容と結果を大きく左右するホットゾーンになった。

「アンカーというポジションは自分しかいないという気持ちでやってきたし、昨日もそういう気持ちで臨みました。その気持ちを見せることができました」

 静かな口調だが、その分、余計にプライドがにじみ出る。頼もしい。

 昨日、とは11月18日の第30節横浜F・マリノス戦のこと。ハイレベルな攻防を繰り広げた激戦は守田を楽しませたようだった。

「相手は一人少なくなったときから、強力な外国人選手を2枚、前に置くような形に変えてきて、縦に速いサッカーで取りにいくシフトチェンジをしてきました。こっちは相手が一人少なくなったからにはもちろん勝ちにいきたい気持ちがあって、そこのプランの兼ね合いが面白い展開だったと思います」

 40分に横浜FMのGK高丘陽平が退場したことで、ゲームの色が変わった。それに合わせて川崎Fも対応していく。戦略の変化とそれを表現しようとする選手のハイレベルなプレーがぶつかり合った。

 守田の反省としては、「自分のところを使われて攻められてしまった」ことがある。

「4-3-3というシステムの中で前から奪いにいこうとすると、どうしても相手が1人フリーになるような状態が出てくるんです。そこに出させないように圧をかけて、数的同数に持っていくことが勝負の鍵になります。そこでコースを消しきれない、圧をかけきれない、そしてフリーな選手を使われる、というシーンがあって」

 しっかりリカバーできたのは、ある意味で緊急避難的な「分離」によるものだった。

「プランで言えば前の3人が相手のパスコースを限定して前から行く姿勢を見せれば、後ろはついていきます。でもそこで奪えなかったので、中盤3人がいい意味で前線と分離できたというか、歯止めを効かせて1回戻し切ることができました。横着しないで帰らせてから出ていく、という小さな作業ができていました」

 ゴールという大きな果実を得るための小さな作業の連続によって、破綻を避けることができた。

「体力も奪われるし精神的ストレスもかかるんですけど、そこでサボらずに、あるいは100パーセントでいくと見せかけて、70〜80パーセントに抑えたりしてうまく相手を騙しながらやっていました」

 地道なマイナーチェンジはこの試合中はもちろん、シーズンを通して繰り返してきた。そしていま、その結果として、優勝を勝ち取れるところまで来た。大分トリニータに勝てば3度目の優勝だ。

「間違いなく勝てば優勝ということで、自分たちの力で決められるのは思い描いていた展開です。アウェーですが決めきることが大事ですね。と言っても一戦一戦にこだわってきたチームなので、目の前の試合でしっかり戦って、最後は勝ちにいきたいと思います」


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