上写真=26歳で迎える初めてのゲームは次節湘南戦。勝利で祝いたい(写真◎Getty Images)
「スカッとするようなゴールが取れてない」
貪欲に2位を目指す名古屋グランパスにとって、「3度目の正直」は大きかった。今季リーグ戦のアウェーゲームとルヴァンカップ準々決勝で敗れていたFC東京に、3回目の対戦で勝利を収めたのだ。しかも、0-0の引き分けが濃厚だったアディショナルタイムにPKを獲得、マテウスが決めた劇的な「ウノゼロ」(1-0)だった。
金崎夢生と山崎凌吾というFWを負傷で欠く中、マッシモ・フィッカデンティ監督が授けた策が、阿部浩之とガブリエル・シャビエルを前線に配置するスタイル。フィッカデンティ監督自身が「つかみどころのないやり方」と表現した戦いで、リズムを手にしていった。
前田直輝は右サイドハーフだった。そこに、この人ならではの工夫を織り交ぜていった。
「久々にサイドハーフをやった感覚があって、例えば(ドリブラーの)マテウスや相馬(勇紀)がサイドに張れば驚異になるのでそれはそれでいいけれど、僕が入ったならボックスやポケット(センターバックとサイドバックの間の裏)やボランチの脇などで受けられたら自分のタイミングでスイッチを入れようと思っていたので、その意味では少しはできたと思いますけどね」
例えば、それがビッグチャンスにつながったのが16分。左の高い位置で奪ってショートカウンター、中央のガブリエル・シャビエルを経由して右に出たボールをペナルティーエリアの中で受けた前田が左足でフィニッシュ。ニアを狙ったシュートは決まらなかったが、いわゆる幅を取るウイングとはまた違った攻撃で迫っていった。
最後の最後に勝ち点3を取れたのは大きな収穫だが、「PKの1点しか取れていないのが正直なところ。ここ何試合か振り返ってみても、流れの中でなかなかきれいなというか、スカッとするようなゴールが取れてない」と嘆きたくなるのもまた事実。自身のシュートチャンスも「正直フリーすぎると逆に迷うんです。いろんなことができちゃう方が苦手だけど、それは言い訳だしどんな状況であれ、決め切らなければ数字は伸びないしチームを助けられませんね」と戒める。
「決め切らなきゃいけないのが僕自身の課題で、それがチームの結果に直結するんだという危機感を持たなきゃいけないですね。もう26にもなりましたし」
年齢のことに触れたのは、11月17日が誕生日だったから。「26」という数字に敏感になるには理由があるという。
「26歳と聞いてピンとくるのが、プロ生活をスタートするときにサッカー選手の平均寿命がその歳だと聞いていて、もうその年齢になっているんだなって。早かったなというのと、まだJリーグに何も功績を残していない。もう半分もいったのか、残りサッカー生活は少ないんじゃないかなというか、いろんな危機感でしかないです」
そんな26歳初試合は、11月21日の湘南ベルマーレとのホームゲームだ。相手は前線からどんどんと守備に勢いを持って迫ってくるだろうと予測しているという。
「湘南はたぶん前から来て圧力をかけるプレーをしてくると思うんですけど、中谷(進之介)選手や丸山(祐市)選手がプレッシャーを受けてると感じるようなときに、助け舟じゃないけど顔を出して打開していきたいと思います。そういう中盤のちょこちょこしたプレーで引っかき回したい」
勝利で素晴らしい26歳のスタートを!