10月31日、明治安田生命J1リーグは第25節が開催され、名古屋グランパスは鹿島アントラーズと敵地カシマスタジアムで対戦。前半7分にPKで先制ゴールを奪うなど、金崎夢生がかつての本拠地で躍動し、名古屋グランパスにアウェーでの勝ち点3をもたらした。

上写真=前半7分に名古屋の金崎夢生がPKで先制点を決める(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月31日 J1リーグ第25節(@カシマ:観衆8,912人)
鹿島 0-2 名古屋
得点:(鹿)なし
   (名)金崎夢生、マテウス

「よく練習をしていた」後輩GKとの駆け引き

 名古屋の一員として、かつてのホームスタジアムに戻った金崎夢生が、試合の主役となった。立ち上がりから闘志をむき出しに、元チームメイトと球際で激しくぶつかり合った。勝ち点「45」で並ぶ鹿島との一戦。「鹿島はすごく手強い相手。先制点がすごく大事だと思っていた」と、ゴールへと向かった。

 そして、得点チャンスはいきなり訪れる。前半7分、マテウスが敵陣ペナルティーエリア内でファウルを受ける。主審のホイッスルが鳴り響くと、ペナルティースポットへと歩き出した。ボールをセットし、助走をとる。鹿島の後輩でもあるGK沖悠哉との駆け引きが始まった。

「鹿島のときに、よく(沖とPKの)練習をしていました。沖はたぶん、自分から見て左の方に(シュートが来ると)予想しているんだろうなと。なんとなく分かっていたので、右に蹴れば入るなと思いました」

 駆け引き合戦は金崎の完勝。GK沖の飛んだ方向とは逆側に、右足でシュートを沈めた。「先制点を取れたのはすごく良かった」と、勝敗の行方を左右する、大きな意味を持つ1点を決めた。

「1-0の時間を長くすれば、向こう(鹿島)が焦ってくることは考えていました。向こうが人数をかけたときに、追加点を取れればいいかなと」

 前半早々に1点をリードし、後半には数的優位にも立った。そして、後半アディショナルタイムにマテウスが勝利を決定づける追加点を挙げる。まさに、金崎の思い描いた勝利へのシナリオに近い展開となったことだろう。

「鹿島相手だったので、すごくうれしい」

 試合中には勝利への執念からか、鹿島の選手と言い争う場面もあったが、タイムアップの笛が鳴れば遺恨はない。レオ・シルバとは抱擁を交わし、クォン・スンテが近寄ってくると笑顔を見せた。その後、相馬勇紀とともに鹿島のサポーターに手を振りながら場内を一周した。

「うちの選手もしっかり強い気持ちでできていたと思うし、こういう試合をもっと、1試合でも多く、次の試合でもできるように」

 最前線で激しく走り回る背番号44の背中が、名古屋をさらなる高みへと引っ張っていく。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE


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