上写真=意地を見せなければいけない。長谷川健太監督は選手の心に訴えた(写真◎FC東京)
「どちらも研ぎ澄ませていかなければ」
FC東京がシーズンの大きなヤマ場を迎える。
10月31日、J1第25節の川崎フロンターレ戦。11月7日、JリーグYBCルヴァンカップ決勝の柏レイソル戦。
川崎F戦は、引き分け以下でリーグ優勝の可能性が完全に消滅する重要な90分。川崎Fが独走しているとはいえ、「可能性のある限り戦う」というのが長谷川健太監督の信念だ。アジア・チャンピオンズリーグを控えるFC東京は、この試合を含めて残りは6試合。首位の川崎Fとの勝ち点差は18で、勝たなければその時点で追いつけなくなる。
「展開的にボールを握られるのは致し方ないと思っています。我々がどれだけ我慢できるか、そして相手の一瞬のスキを突けるかだと思っています」
相手の嫌がる場所にボールを運びながら穴を通してくる川崎Fの戦い方は、今季のJリーグの象徴でもある。それに対抗するのに必要なことは「我慢」だと、長谷川監督は選手たちに改めて意識づけを行なったという。
まさに背水の陣だが、そこで戦うのが川崎Fだからこそ、長谷川監督はポジティブだ。
「とても期待しています。防げる失点は防いでいかないと勝ち点3は奪えませんし、チャンスを決め切らなければ勝てません。どちらも研ぎ澄ませていかなければ勝てない相手ですから、こういう状況でまた川崎と戦えるのはいいことだと思っています。前向きにとらえてポジティブに戦いたいと思っています」
残念ながら、リーグ戦ではこの5試合で1勝4敗。その間、1得点10失点と、強固なディフェンスを誇ってきたチームにしては失点が多い。しかも現在3連敗中。1-3で敗れた直近の柏戦では、ミスが失点に直結するシーンが相次いだ。
「失点シーンについてはしっかりと話をしました。(10月7日のルヴァンカップ準決勝で)川崎と強度の高い試合をして、そこで出し切ってしまった感があって、そのあとの5試合で少し『らしくない』サッカーをしてしまっています。でも、もう一度、強い川崎と当たるからこそ、逆に我々がいいきっかけにできる試合になると思っています。もう一度じりじりとした試合の中で自分たちがいい結果を出すことで、また気持ちに火がつくと思うんです。強敵だからこそ逆に、いまの我々にとっては非常にチャンスなんです」
川崎Fを堂々と倒してから、心身ともに最高の状態でルヴァンカップ決勝へ、そしてアジア・チャンピオンズリーグへと大きな弾みがつくに違いない。
「多摩川クラシコという一戦はダービーのような試合だと思います。意地を見せなければならない」
プライドのぶつかり合いが楽しみだ。