上写真=10月13日、トレーニング中のエヴェラウド(写真◎KASHIMA ANTLERS)
「個人の数字は残るけれど、みんな勝利のためにやっている」
前節の横浜FC戦では4試合ぶりにゴールを奪取。エヴェラウドは今季の得点数を「12」とし、得点ランク2位タイにつけている。
「自分からランキングを見たり、気にしていることはありません。今の時代はSNSがすごく普及しているので、自然にその情報が僕のところに入ってくると、ちらっと見たりはしますけれどね。自分の役割は常にゴールを決めること。あとはできるだけその得点がチームの勝利につながればなと思っています」
エヴェラウドが得点した試合は無敗。つまり、彼のゴールがチームの結果を左右するとも言えるかもしれない。チーム内の他の選手では土居聖真が5点、上田綺世とファン・アラーノが3点と続く。ただ、得点数こそ差があるもの、エヴェラウドはチームメイトのパフォーマンスを称賛する。
「(同じFWの)上田選手は非常に良い働きをしています。マリノス戦で2点取ったりしました。パフォーマンスが良くなってきたタイミングでケガをしてしまって離脱せざるを得ない状況だったので、それを考えれば試合に出場できなかったぶん、点も取れていなかったのだと、僕は考えています。能力は非常に高い選手ですよ。彼だけでなく、他のチームメイトもピッチに立ったときには、必ずチームの勝利に貢献する。個人として目立つためにやっている選手はいないと感じています。みんなが(目指すのは)チームのための得点だったり、アシストだったり。時には守備でも助けたり。チームメイトとして、お互いの信頼関係というのは、いろんな細かい姿勢がピッチで表現されたときに築き上げられるものです。個人の数字は残りますが、みんなはこのチームの勝利のためにやっていると、僕は確信しています」
ザーゴ監督の下で、選手同士が信頼し合いながら戦っている。加入1年目のブラジス人ストライカーはチームの結束を強調する。
その中で、翌14日からはアウェー3連戦が待ち受ける。特に14日は鳥栖戦、続く18日は札幌戦。J1リーグに所属するチームの中でも最西端と最北端の都市に本拠地を置く2チームと、中3日でのアウェー連戦を戦わなければならない。それでも、エヴェラウドは平然と語る。
「僕は(以前に)ブラジルの南部のチームでプレーしていて、最北端のチーム(との試合)に行くと、(移動がおよそ)3000キロの距離になる。飛行機も2回、3回乗り換えてなくてはいけません。正直、それとはちょっと比較にならないかなと思います。日本の方がすごく便利で、行きも帰りも飛行機1本で移動できる。(ブラジルでの移動とは)まったく違うものです」
そんなエヴェラウドは、AFCチャンピオンズリーグ・プレーオフ、ルヴァンカップ、J1リーグ戦と、ここまでの今季公式戦でチーム最長の出場時間(1930分)を記録している。「疲労がたまっていないと言ったら嘘になる」と言うが、エヴェラウドの鉄人ぶりは、次のように明かしたエピソードからもうかがえるだろう。
「昨年は(ほとんどの)試合で90分フル出場して、筋肉系のケガを一切しませんでした。幸いにも丈夫な体なので、そういう(ケガの)問題はありません」
実際に前所属のシャペコエンセ(ブラジル)では昨年、累積警告での出場停止以外は、ほとんどの試合で90分間出続けたようだ。そして、強靭なフィジカルを備える助っ人はこう続ける。
「今シーズンはコロナの影響でタイトな日程になっていて、連戦が続くような状況です。僕自身はできるだけ多くの試合に出場できるように準備をするだけ。自然と疲労はたまりますが、そのぶん回復することに専念して、試合間での準備や取り組みをやっていければと思っています。ひたすら出場して、ただただ結果を出すことです」
エヴェラウドは力強い言葉を残し、鳥栖戦で2試合連続ゴールを目指す。サッカー王国からやってきた点取り屋は、これからもチームの勝利のために最前線で走り続ける。