上写真=チーム力の絶対の自信を持つマッシモ・フィッカデンティ監督(写真◎Getty Images)
今に対してベストを尽くす
前回対戦で大勝した相手との再戦にも、指揮官は当然ながら気を緩めるところなどなかった。ホームとアウェーを入れ替えての2カ月ぶりの『再戦』に向けて、マッシモ・フィッカデンティ監督は前回の結果、つまり6-2で大勝した試合はすでに過去のことだと強調し、目の前の試合に集中する姿勢を貫いた。
「準備として、今の時点で何ができるかが重要です。たとえば浦和が試合中にあらゆるシチュエーションで前回6点も取られたと思い出してプレーすることはないと思いますし、すべてのプレーにおいて前回の借りを返そうと思いを込めてくるかというとそんなことはないでしょう。もしかしたら準備の段階でこの試合に対して、『いよいよ名古屋戦だ』と思いながら日々過ごしたことはあるかもしれないが、あくまでその試合においてはどういうコンディションであるか、どんな準備ができるか、です。私も一番効果的な選手をグランドに送り出すことに集中したいと思いますし、6点取ったことだけを材料として持って臨むということはない。ただ今の浦和に対してベストを尽くしたいと思っています」
日々、アップデートされる状況を的確にとらえて、一戦一戦、集中してきた。今回もそれは同じだ。自チームの今を見つめ、相手チームの今を分析して試合に臨む。浦和戦のポイントについては、こう語る。
「われわれはチームとしてプレーするべきだと思っています。個が強い浦和に対して、しっかりとチーム力を発揮することができればと思う。他にこれだけのチーム力を持っているチームがあるかと言えば、なかなかないと思っています。本当に噛み合ったときのわれわれのチーム力はリーグで1番だと思う。だからチーム力の強さというものをそのままぶつけていく必要がある。たとえそれが地元の試合だろうとアウェーの試合だろうと変わらずにできなければいけないと。そのことについては、前回の試合のあとからも言い続けてきたこと。選手たちがそういった部分を信じて、次のゲームに力を注いでくれたらと思います」
かみ合えば、名古屋に恐れるものはない。前回の浦和戦しかり、首位川崎Fを破ったゲームしかり。ポイントはチーム力をいかに発揮できるかどうか。
4日前の神戸戦では、なかなかチャンスを作り出せず、持ち前のチーム力を発揮し切れなかった。指揮官自ら「あまり見ごたえのある試合ではなかった」と反省する内容にもなった。浦和戦で同じ轍を踏むつもりはない。勝利から逆算して局面局面で正しい判断を下し、『リーグナンバー1のチーム力』を行使する。サッカーにおいて、個が密接に結びついた『全体の力』がいかに重要なものか。浦和戦は、改めてそれを示す機会になるーー。