明治安田生命J1リーグで暫定2位のセレッソ大阪と首位川崎フロンターレの頂上決戦。そこで川崎Fの鬼木達監督が求めたのは「強い気持ち」だった。C大阪を相手にそれを体現した脇坂泰斗は、勝利の確かな実感を口にした。

上写真=脇坂の強烈なセンタリングが相手に当たって先制のオウンゴールに(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月3日 J1リーグ第20節(@ヤンマー:観衆11,842人)
C大阪 1-3 川崎F
得点:(C)奥埜博亮
   (川)オウンゴール、レアンドロ・ダミアン、三笘薫

「気持ちで負けないということ」

 合言葉は「決勝戦のように戦え!」だった。

 首位の川崎フロンターレが暫定2位のアウェーゲームに挑んだJ1第20節。直接対決で鬼木達監督が何よりも選手たちに求めたのは「心」の部分だった。

 脇坂泰斗は選手の思いをこう振り返る。

「決勝戦のように戦えと監督に言われました。勝っても優勝が決まるわけではないですが、大きく前進する試合です。気持ちで負けないということを一番言われました。そこは全員で声を掛け合いました」

 技術の高さを見せるのも、コンビネーションで崩すのも、強気でなければ不可能だという勝負の哲学を、思う存分、ピッチで披露した。

「気持ちのところで絶対に負けないようにハードワークすることと、相手が嫌がるところにポジションを取って、起点になれるように心がけました」

 先制ゴールはその脇坂の右足から生まれた。37分、右CKを蹴ったあと、ポジションを取り直したところに、相手クリアを拾った登里享平から浮き球のパスが送られてきた。これをそのまま、まるでシュートのような速さと強さでパスにして中に蹴り込んだら、相手に当たってオウンゴールになった。

「中に(小林)悠くんいたので速いボールを蹴ったんですけどその前で相手に当たって、入ったので良かったです」と笑うが、そのセンタリングに至るまでのプレーは計算通りだった。

「セットプレーのあとにマイボールになったときに、背後を突くというのはチームとしての狙いとしてあったので、待っていたらノボリくん(登里)がいいボールをくれました」

 その後、C大阪が攻勢をかけてくるのだが、涼しい顔。「力のある相手でしたし、向こうの時間もありました。でも、焦れずにいこうと話していたし、外からもそういう声かけがあって、しっかりコントロールできたと思います」

 慌てず騒がず。鬼木監督が「メンタルの勝利」と言ったのはこういうことだった。

 62分に同点とされ、脇坂はその直後にお役御免。しかし、後を引き継いだ仲間たちが同じように「焦れずに」のリズムを引き継いで、82分と83分に一気の連続ゴール。しっかりと8連勝を手繰り寄せた。

「メンバーに入る人も入らない人も、練習を積んできました。全員がこの試合に向かって練習していったので、チーム力で勝った試合だと思います」

 これで勝ち点差はついに14にまで開いた。リーグ優勝を遮るものは何もないように見えるが…。

「この勝ちは大きいと思いますけど、試合はすぐ来ますし、また全員でしっかりやっていきたい」

 脇坂は次の試合もきっと、決勝戦のように集中して戦うのだろう。それがフロンターレというものだから。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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