上写真=先制した三田を中心に喜びの輪。FC東京がこの1点を守りきった(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月20日 J1リーグ第17節(@味スタ:観衆4,981人)
FC東京 1-0 仙台
得点:(東)三田啓貴
「追加点を取れれば言うことのない試合」
スピーディーな先制ゴールだった。13分、中盤のポストプレーでアダイウトンがつぶされてFK。これをすぐさま三田啓貴が蹴って田川亨介に預け、リターンをもらうと、そのまま中央をドリブルで突き進んでペナルティーエリア手前から得意の左足できれいに右に流し込んだ。
FC東京はこのゴールをきっかけに攻勢を強めていく。21分にはアダイウトンが左サイドをドリブルで破ってシュート、これは右ポストを弾いたものの、セカンドボールも拾い続けてリズムを堅持した。
仙台も黙っていたわけではもちろんない。36分に右サイドのFKからのこぼれ球を関口訓充が目のさめるようなボレーシュート、これは右ポストを直撃したが、ほかにもゴールに迫って徐々に見せ場を増やした。しかし、ゴールを割るまでには至らなかった。
後半に入ると、リードされている仙台が攻撃によりパワーをかけていく。中間ポジションにできるスペースを利用しながらゴール前をこじ開けようとテンポを上げた。しかし、逆にFC東京が体を張って止めることで、守備でリズムに乗っていった。
FC東京がぎりぎりで守備を破られないで済んだのは、中盤の献身によるところが大きい。三田と内田宅哉のインサイドハーフが、仙台のボランチ、浜崎拓磨と椎橋慧也にボールが入るたびにコースを切ってミスを誘っていった。後半の苦しい時間にも中盤を4枚に並べるようにしてフタをした。
サイドを使って人数をかけて押し込む仙台、守ってカウンター狙いのFC東京という構図はこのまま変わらず、スコアも動かないまま終了のホイッスルを聞くことになった。
仙台の木山隆之監督は8月8日の第9節以来の勝利を目指して、守備を重視してスタートから今季初の3バックを採用。しかし、「立ち上がり早い時間に失点したのが痛かったです」と出鼻をくじかれた1点の重みを悔やんだ。「後半はもう少し積極的にワイドを使っていこうとして、何回かチャンスは作りましたが、もう少しできたら、というのが本音です」と攻めにももうひと押しを望んだ。
逃げ切りに成功したFC東京の長谷川健太監督は、勝利に力強い口調。「今日は攻守についてディテールにこだわって戦うことを選手に伝えました。前節の大分戦でこだわることができずに負けたのですが、最後まで気持ちを出して戦ってくれました。追加点を取れれば言うことない試合でしたが」と話して、1-0での勝利に確かな手応えを感じていた。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE