上写真=今季より市立船橋高から清水に加入した鈴木(写真◎GettyImages)
■2020年9月16日 J1リーグ第24節(@日産ス:観衆4,171人)
横浜FM 3-0 清水
得点:(横)エリキ2、オナイウ阿道
濃厚な90分間
清水のピーター・クラモフスキー監督には、連敗脱出のためのアイディアがあった。「(横浜F・マリノスと相対して)自分たちが使えるスペ―スがあるとわかっていたので、そこを使いたいと思っていた。主導権を握りたい場所があって、そこで数的有利をうまくつくりたいと思った」。今季から指揮を執るチームで初めて3バックを敷いた理由を、そう語った。
鈴木唯人にとっても、初めての経験だった。ルーキーイヤーの今季、トップ下で先発に抜てきされてきたが、この日は右ウイングバックでの出場。経験したことのないポジションだった。
出鼻をくじかれたのが痛かった。開始9分、対面する横浜FMの高野遼に1対1で突破され、アシストを許してしまった。「ファーストプレーでああいう形でやられて、本当にチームに迷惑をかけてしまったと思っている」。声のトーンが落ちるのも致し方なかった。
さらにプランが瓦解していく。キックオフから13分で退場者が出て、最終ラインも4バックに変更。横浜FMの圧力の前に、ハーフタイムまでに3ゴールを失った。「1対1もそうだけど、右サイドバックの守備の役割ができていない」。後半はゴールを割らせることこそなかったが、苦しい90分間だった。
自信と悔しさが、それぞれ顔をのぞかせる。「攻撃面はどのポジションでも気にしないけど、守備で裏を取られないとか、1対1で簡単にやらせないとか…。最初のプレーのようなことは、なくしていかないといけないと思う」。18歳にとっては、かなり濃厚な時間となったことだろう。
だが、切り替えも早い。それも若さの特権だ。
「こういう連戦なので、どのポジションでケガ人が出てもおかしくない。右サイドバックができることも、これからのサッカー人生で大事になってくると思う。吸収して次につなげていければいいと思う」
リベンジの機会はまだまだあるし、おそらくすぐにやって来るはずだ。
取材◎杉山 孝 写真◎Getty Images