上写真=自らのゴールはチーム2点目。これで勢いをつけた(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月16日 J1リーグ第24節(@味スタ:観衆4,782人)
FC東京 2-3 大分
得点:(東)レアンドロ、品田愛斗
(大)松本怜、田中達也、野村直輝
「1対1になったら仕掛ける」
あっという間に突き放してしまった。
67分に野村直輝、三竿雄斗とともにピッチに送り込まれた田中達也は、その野村とともに1トップの下に入るシャドーストライカーとして攻撃を担った。83分、まずは左サイドをその野村が突破した折り返しが逆サイドまで流れてきて、田中がていねいにプッシュして2-1に。3分後にはその「返礼」だ。今度は自らが右サイドを鋭く縦に突破してゴールラインぎりぎりでセンタリング、ニアで伊佐耕平がシュートしたこぼれ球を、野村が蹴り込んで一気に3-1としたのだ。
自分のゴールよりも、野村の一発の方を喜んだ。2月の開幕戦に出場して以来、負傷で長くリハビリを余儀なくされてきた背番号10の感動的な復活ゴールなのだ。
「ああいう状況で1対1になったら仕掛けるのが自分の特徴だと思っているし、伊佐くんはニアにしっかり入ってきてくれるし粘ってくれて、最後はノムさん(野村)が決めてくれました。普段からノムさんは優しくしてくれますし、ようやく復帰して得点を決めたというのは個人的にもうれしかったです」
同時に、前節のベガルタ仙台戦に続く自らのゴールは成長を実感する一発でもあった。
「今年はウイングバックだけじゃなくシャドーで出ることも多くなった中で、ウイングバックよりチャンスメークというかフィニッシュに力を入れなければいけないと思っていたんです。点を取る側、押し込む側に慣れてきたのは、去年より成長している部分だと思います」
自分のゴールシーンでは、左サイドにボールがあるときにしっかりと逆サイドに入ってボールが来ることを予測できていた。相手の視野から消えながらもぐり込むことができたから、まさしく「シャドー」という名前がぴったりな影武者ぶりだ。
「今年はこうやってシャドーで使ってもらえることでプレーの幅が広がっていると思いますし、コヅ(小塚和季)、ノムさん、(町田)也真人くんといった技術のあるタイプのシャドーとは違った、自分なりの良さを生かすシャドーがうまく結果につながっているのは、手応えを感じているところではありますね」
野村のゴールを導いた突破の場面は、まさにその「自分なりの良さ」であるドリブルが生きたわけで、ウイングバックでのプレーによって得た自信のプレーでもある。両方のいいところを合体させたアシストだったのだ。
前節は仙台に3-0で勝っているから、連続で3ゴールを奪っての2連勝だ。でも、足元を見ることを忘れない。
「調子がいいという気の緩みが出たり、これぐらいやっておけば勝てるんじゃないかというプレーをするといい結果は転がってきません。2連勝の勢いを大事にはしますが、それは一回忘れて、自分たちのサッカーをやることに集中してまた勝ちたいと思います」
次の相手は横浜FC。ホーム3勝目をサポーターに届けることを誓うのだった。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE