上写真=2得点を挙げて勝利に貢献した田中碧(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月13日 J1リーグ第16節(観衆4,770人/@等々力)
川崎F 5ー1 広島
得点:(川)田中碧2、レアンドロ・ダミアン、山村和也、小林悠
(広)浅野雄也
・川崎Fメンバー◎GKチョン・ソンリョン、DF山根視来、ジェジエウ、山村和也、車屋紳太郎、MF守田英正、田中碧(89分:家長昭博)、脇坂泰斗(46分:大島僚太)、FW旗手怜央(46分:三笘薫)、レアンドロ・ダミアン(71分:小林悠)、齋藤学(71分:宮代大聖)
・広島メンバー◎GK大迫敬介、DF野上結貴、荒木隼人、佐々木翔、MFハイネル(64分:浅野雄也)、川辺駿、青山敏弘(72分:柴崎晃誠)、柏好文(72分:東俊希)、ドウグラス・ヴィエイラ(51分:エゼキエウ)、森島司(51分:茶島雄介)、FWレアンドロ・ペレイラ
むしろ、ここから気を引き締めていく(鬼木監督)
川崎フロンターレの選手層の厚さと充実ぶりを、まざまざと見せつけるゲームになった。
先制点を挙げたのは、5試合ぶりに先発した田中碧だ。ジェジエウの縦パスを右ウイングの旗手がポストになってインナーラップしてきた右サイドバックの山根に落とす。その山根と田中のワンタッチのパス交換で田中がラインの裏に抜け出し、相手GK大迫の届かない場所にボールを蹴り込んだ。3人目、4人目の連動した動きで広島のブロックを粉砕。開始14分、これぞフロンターレという鮮やかな得点でゴールラッシュの口火を切った。
2点目は後半から旗手に代わって登場した三笘のお膳立てで生まれている。47分、左サイドでパスを受けると、対面する相手ウイングバックのハイネルをドリブルで抜き去り、ボックス内へ進入。相手ボランチ川辺の激しい当たりを物ともせずに前進し、相手GKが出てきたところで中央へ折り返す。そこにレアンドロ・ダミアンが飛びこんでネットを揺らした。
3点目は今季4試合目の出場となった山村のミドルだ。谷口彰悟が疲労を考慮してこの日ベンチ外だったが、代わりにCBを務めた男が目の覚めるような一発を突き刺した。50分、三笘がボックス内へと強引に仕掛け、相手DFにクリアされたボールがボックス手前にいた山村のもとへ届いた。何より結果が欲しかったという山村は躊躇なく右足を振り抜き、ゴールを見事に射抜いてみせた。
現在の川崎Fの強さは、出番が限られる選手がトレーニングから手を抜かずに取り組み、出場機会を得たときに活躍する好循環を生んでいる点にある。激しい競争を促し、総合力を高める彼らの存在こそがチームの原動力だと鬼木達監督も言う。山村のゴールは、そんな現在のチームを象徴する一発だったと言える。
3ゴールを集めても、川崎Fは当たり前のように次の1点を取りにいった。3点目が生まれてからわずか1分後。後半から右サイドの回った齋藤が相手ディフェンスのギャップを見逃さず、早めのクロスを送ると、スペースに走り込んだ田中が絶妙なトラップからシュートを放ち、この日2点目をスコアした。
そして86分には山根のクロスが佐々木のハンドを誘発し、PKを獲得。これを途中出場の小林がきっちり決めて、5-0とした。
終了間際に広島の浅野のゴールで1点を返されたが、5-1の大差で試合は決着。『川崎、強し』を強く印象付けるゲームになった。
「13連戦の最後ということでしたが、13連戦なのかと思わせるようなゲームをしようという気持ちで入って、選手がそういう試合を90分間やってくれた。自分たちの強気のサッカーを貫き、1点を取って、2点目3点目と畳みかけてくれた。新しく入った選手や、なかなか出番がなかった選手が結果を出してくれたことも本当に喜ばしいことだと思います」
鬼木監督も納得の快勝劇。8月1日から始まったカップ戦3試合含めた13連戦を、10勝2分け1敗で乗り切った。その強さは、圧倒的だ。しかし指揮官は、こう付け加えた。
「まだまだ半分なので何も決まっていないですし、ここからが勝負。むしろここから気を引き締めてやっていきたいと思います」
慢心はない。あるのは飽くなき向上心のみ。シーズンの後半戦も、川崎Fがリーグを引っ張っていくのは間違いない。
現地取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE