上写真=ドリブルでゴールへと向かう上田綺世(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月9日 J1リーグ第15節(@カシマ:観衆3,839人)
鹿島 2-1 仙台
得点:(鹿)エヴェラウド、上田綺世
(仙)長沢駿
「チャンスを物にできていない試合のほうが僕的には多い」
鹿島が1点をリードして迎えた後半38分、ストライカー・上田綺世の右足が火を吹いた。自陣深くからの永戸勝也のロングパスに反応し、華麗なトラップでボールを抑えると、相手DFと向き合いシュート体勢へ。コースが開いた一瞬を見逃さず、ゴールネットを揺らした。
「永戸選手が前を向いたタイミングで、僕は後ろから和泉(竜司)選手の動き出しを見ていて、一度(下がって)足元で(パスを)受けようと思ったけれど、竜司くんが(後方へ)落ちたので、その逆の動きを自分はしようと(前方へ)。自分も落ちようとしていたので、センターバックもうまく引っかかってくれたのかなと思います」
そのように、ロングボールからシュートへとつなげた一連の相手DFとの駆け引きを振り返る。前線の和泉との連係から、うまく相手守備陣の対応を遅らせたことがゴールにつながったようだ。
上田自身、7月18日の第5節横浜FM戦(2ゴール)以来となる今季3得点目。ケガで離脱する時期もあり、試合出場時間もままならなかったが、今節は30分間ほどの少ない出場時間で結果を残した。
「なかなかコンディションも満足いかないことが今は多くて、その中で自分で結果を出そうともがいた結果がゴールに結びついた。こういった姿勢はずっと忘れてはいけないなと思います。ただ、チャンスをもらっている試合で、チャンスを物にできていない試合のほうが僕的には多い。それが今の出場時間につながっていると思う。勝ちましたけれど、チーム内の戦いは続くので、そこに向けてまた準備をしていきたい」
出場時間にかかわらず、点取り屋として試合に出るならば点を取る。この日の決勝ゴールに満足するよりも、ゴールゲッターとしての役割を果たせなかったこれまでの出場試合を省みるところは、常にどん欲な上田らしさでもあるのかもしれない。
「次はアウェー(清水戦)になりますが、テレビの前で応援してくれる人が多くいると思うので、その人たちに歓喜と感動を与えられるように僕も精一杯プレーします。点を取る姿を見てほしい」
サポーターに笑顔を届ける。そのために、ひたすらゴールに向かい続け、結果を残す。上田はプロサッカー選手、そしてFWとしての役割を自覚しながら、またこれからもゴールを求め続ける。
現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE