川崎フロンターレのMF大島僚太が7日、今季3度目の対戦となるヴィッセル神戸戦を前にオンラインで取材に応じた。前節、横浜F・マリノス戦でもゴールを導くなど勝利に貢献したが、本人はまだまだ足りないと、さらなる向上を誓っている。

上写真=昨季よりもポジションが1列上がり、ゴールに直結する仕事も増えている大島僚太(写真◎Getty Images)

自分自身のプレーの幅を広げたい

 横浜F・マリノス戦で川崎Fが挙げた2点目は、2020年の大島らしさが表れていた。敵陣左サイドの深い位置まで進出し、クロス。そのボールを家長昭博が決めた。

「チームとして背後を狙うことは常にやっていました。チャンスがあればと思っていましたが、あの瞬間は、相手のサイドバックの選手が(三笘)薫のほうに体を向けていましたし、スルーしてくれれば、抜けられるなと思っていたら、うまく薫がスルーしてくれた。僕が抜け出した後にチームメイトが3人くらい、ランニングしてくれていたので、そこはしっかり(ボールを)通すことを意識しました」

 後半開始からハイプレスで横浜FMのビルドアップを寸断してペースを握り、この追加点を挙げた。左サイドに開いていたCB谷口にボールが渡った瞬間、大島は相手最終ラインを駆け引きしつつ、時を待った。そして谷口が縦パスを送り、ハーフウェーライン付近にいた三笘がスルー。大島は走りながらボールを受け取ると、左サイド深く、ボックス左脇までボールを持ちこんだ。クロスを送る瞬間には、ボックス内に手前から小林悠、家長、そして旗手怜央の3人が走り込んでいた。チームの攻撃姿勢が表れた得点でもあった。

 相手のどこにスペースがあるのか。どこにボールを送るべきか。そもそも状況把握力と優れた技術を持つ大島がインサイドハーフを務め、攻撃を作ることに加えて、よりゴールに直結するプレーを率先して行なっている。相手にとっては脅威でしかないだろう。

「自分自身もプレーの幅を広げたいという思いもありますし、走ることでチャンスが生まれるなら走ろうと思っています。そのタイミングを、どんどん見極められるようにしていきたい。この前の試合は、走りやすいタイミングをいろんな選手が作ってくれたので、そこで走ることを惜しむことなくやろうと」

 ゲームを作る、大島。アシストする、大島。これまでにも何度も目にしてきたが、今季はゴールを決める大島。そしてこの日のように、走る大島を頻繁に見ることができる。実際、本人が望むように幅を広げていると映るが、まだまだ満足していないという。

「かたち上、インサイドハーフに置かれているので、やっぱりゴールに関わることを求められている。ただ守備においては今までのボランチの役割も求められていて、その両方を求められていると思う。自分にはたくさん役割がある。攻撃ではいまゴールに関わる楽しさを感じますし、もっと自分の中で形を増やしたいと思います。
 実際にそのイメージが沸いたりもしますけど、その通りにいくことはほとんどない。自分自身のプレー準備と実行について言えば、今はまだ反省の方が圧倒的に多いです。自分の中で同じミスをまだまだ繰り返している」

 首位を快走するチームに置いて、大島の活躍は目を引くが、それでも本人の『インサイドハーフ、大島僚太』評は厳しい。それは、もっとできるという手応えを感じているからなのかもしれない。いくつも沸いてくるというイメージを実行できるようになったとき、いったいどうなるのか。

 次節(9日)は、今季3度目の対戦となるヴィッセル神戸との試合になる。

「(やりやすさとやりにくさは)どちらもあると感じています。相手もケガ人がいたり、メンバーが分からないので、何とも言えないですけど。なので相手を意識せず、やることは変わらないと思うので。何回も試合した相手に、フロンターレとやりたくないと思わせるサッカーを強気ですることが大事かな、と思います」

 フロンターレとはやりたくないと思わせるーー。そのサッカーの中心に大島がいることは間違いないだろう。


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