上写真=今季はすでに7得点。そのうち途中出場からが6得点と小林は驚異的な決定力を示している(写真◎Getty Images)
誰が出ても良いプレーをするのがフロンターレ
小林は今季、リーグ戦11試合に出場して7ゴールを挙げている。だが、そのうち先発出場した試合で記録しのは1得点のみ。6ゴールを交代出場から挙げているという得点力も驚異的だが、4シーズン連続の2ケタ得点者のスタメン出場が限られているのも驚くべきことだ。
今季は過密日程により、メンバーを固定しない総力戦が求められている。負傷による中断期間明けの出遅れもあったが、小林もここ6試合は先発とベンチスタートが交互に続いている。ただ、本人は「誰が出ても良いプレーをするのが、フロンターレの良いところだと思う」と、独善的ではなく、チームファーストの考えを口にする。
ベンチスタートとなった前節を振り返る口調も、どこかうれしそうだった。清水エスパルス戦は、大幅に先発を入れ替えて臨んだ一戦であった。
小林に追いつけ追い越せとばかりに、ルーキーの三笘薫はゴールを重ねる。清水戦でも、交代出場から得点した。
「ドリブルはすごいけどシュートはダメという選手を多く見てきましたが、その両方がある選手はなかなかいない。チャンスメーカーかと思っていたら得点への意識もすごく高くて、本当に乗っている。このリズムで続けていけば、本当にすごい選手になると思います」。
三笘と同じ大卒ルーキー、旗手怜央に関しても同様だ。
「フル出場しているけれど得点だけがないという試合が続いたけど、この2試合で点を取ったし、あいつのミドルが入り出したらチームとしてもかなりの武器になると思う。引いた相手に対して打つことで、(相手を)引き出したりもできるので、あのパワフルさや推進力は武器になる」
なかなか出番が回ってこなかった山村和也と齋藤学の好プレーにも言葉はよどみない。「出られなくても頑張っていたのを知っていたので、自分のことのようにうれしかった」と話すのだ。
そして大卒ルーキーたちについては、成長を手助けしたいとまで言う。
「いい流れを継続できるかで、彼らのこれからの人生が違ってくる。チャンスをどう続けるかが重要。怜央や薫には、そういうことを話したいと思う。良い流れを途切れさせないようにサポートしたい」
そんな小林の姿勢について、鬼木達監督はこう語った。
「このクラブの一つの特徴というか伝統、素晴らしいところだと思います。自分たちがこういうものを目指しているというなかで、同じ絵を描きやすくなる。仲間だけどライバルという思いもそれぞれ持っているだろうが、同じポジションでもアドバイスし合うし、若手もそういうのをすごく聞き入れる。監督としてはありがたいです(笑)」
黄金期を打ち立てていると評されている、現在のフロンターレ。小林のような選手がいる限り、彼らの時代が続いていくのだろう。
取材◎杉山 孝