横浜FCはホームで鹿島アントラーズを下し、連勝を飾った。1-0の勝利に大きく貢献したDF伊野波雅彦は耐えしのいだ自軍の守備を評価しながらも、課題について言及する。修羅場を潜り抜けてきた歴戦の勇者が見つめているのは、もっと高みだ。

上写真=最終ラインを統率し、勝利に貢献した伊野波(写真◎J.LEAGUE)

■2020年8月19日 J1リーグ第11節(観衆2,773人/@ニッパツ)
横浜FC 1ー0 鹿島
得点:(横)皆川佑介

相手に助けられた部分もある

 伊野波、そしてカルフィン・ヨン・ア・ピンという両CBの復帰とともにチームは上昇曲線を描き始めたと言っていい。ルヴァンカップのサガン鳥栖戦以降、チームは4バックを採用しているが、最終ラインの中央で守備に安定感をもたらしているのだ。

 前節の湘南ベルマーレ戦、そしてこの日の鹿島戦でも、両CBは堅陣を築いた。とりわけ伊野波のラインコントロールは見事だった。時に声と身振り手振りで最終ラインを押し上げて、チーム全体を圧縮。鹿島に自由にやらせない状況を作り出し、時にラインを深く取ってスペースを埋め、つけ入るスキを与えなかった。

 ボランチの選手たちを巧みに動かしておいて、『漏れてきた』鹿島のアタッカーを捕獲したことも一度や二度ではない。セカンドボールへの反応も早く、プレーでその存在の大きさを示した。

「相手の精度が良くなかったし、疲れていたので、助けられた部分もあると思う」「紙一重のところでしのげていましたけど、続いていたらやられていたという感覚はあります」と本人は謙遜するが、後半の鹿島の猛攻を耐え切れたのは、伊野波がいればこそだった。

 下平隆宏監督も鹿島戦の試合後、「相手との力関係もあり、絶対に苦しいゲームがある中で、こういう試合を勝ち切れたのは、チーム力が上がってきているからだと感じます。伊野波とキャラ(ヨン・ア・ピン)がCBに戻ってきてから安定していると思っています」と、連勝の実現に伊野波が大きな役割を果たしていると話した。

「チームとして苦しい時間帯が長い中でも耐えられたことは、ひとつ良かったことだと思いますが、もっと自分たちがボールを持ち、奪ったボールを自分たちのペースで回せれば楽に試合を運べた。なかなか練習をする時間はないですが、一人ひとりが考えてやっていく必要があると思います」

 伊野波は今後の課題を口にすることも忘れなかった。勝って兜(かぶと)の緒を締めるーー。歴戦の勇者は、連勝したぐらいで浮足立つことはない。

 その勝負師然とした姿勢がまた、チームに好影響をもたらすのだろう。

取材◎佐藤 景


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