上写真=リーグ初先発でゴールという結果を残した三笘(写真◎J.LEAGUE)
■2020年8月8日 J1リーグ第9節(@等々力/観衆4,735人)
川崎F 2-0 大分
得点:(川)三笘薫、レアンドロ・ダミアン
余裕の先制ゴールはミスキックだった
足に吸い付くようなドリブルで局面を打開するたびにホームの等々力競技場がどよめいた。三笘薫の個人技には華がある。開始5分、脇坂泰斗から優しいパスを受けると、丁寧にゴールネットを揺らし、おちゃめに舌を出して喜んだ。J1初スタメンでしっかり結果を出したこともあるが、本人は照れくさそうに先制ゴールのシーンを振り返る。
「ミスキックなんですが、(相手が)うまくブラインドになりました」
ファーサイドを狙う素振りを見せながら、シュートはニアサイドへ。相手GKは逆を突かれるようにバランスを崩していた。運も実力の内なのだろう。
際立ったのはゴールシーンだけではない。得意のドリブルでするすると抜け出し、あっという間に好機をつくり出した。大卒1年目のルーキーとは思えないほど、プレーに余裕がある。課題の守備も改善されつつある。鬼木達監督の要求にも応えているようだ。
「攻守の切り替えについては、よく言われていますので。外を切って、中にパスを出せていました。ノボリくん(登里享平)、リョウタくん(大島僚太)の声を聞きながらやっています。後ろのサポートが大きい。守備の弱さが出ないように意識したいです」
言葉には充実感がにじむ。それでも、本人は激しいレギュラー争いに危機感を募らせていた。慢心やおごりはない。
「毎試合、結果を出さないとスタメンで出られないです。(シーズン序盤、先発で出場していた)長谷川竜也さんがケガをしていますし、マナブくん(齋藤学)もベンチに座っていますから」
すぐに気を引き締めて、次に気持ちを切り替えた。
取材◎杉園昌之