上写真=呉屋(19)を中心に喜びの輪。柏が1-0できっちり逃げ切った(写真◎J.LEAGUE)
■2020年8月5日 YBCルヴァンカップDグループ第2節(@三協F柏:観衆1,949人)
柏 1-0 湘南
得点:(柏)呉屋大翔
「いい時間に取れなくて…」
1勝同士の対戦だから、どちらにとってもまずは勝ち点3を奪ってグループステージ突破を決めたいゲーム。一方で連戦を考慮してリーグ戦とはメンバーも入れ替えることも踏まえて、両監督はフレッシュなメンバーをピッチへ送り出した。
前半は最初の半分が湘南、残りの半分が柏のペースだった。湘南は指宿洋史のポストプレー、岩崎悠人のドリブルと裏へのランを使い分けて攻撃を活性化、そこにタリクも絡んでゴールに迫っていく。この迫力に押し込まれ気味だった柏だが、時間が経つごとに徐々に盛り返す。ネルシーニョ監督が飲水タイムに「2列目のラインが下がっている」という情報を伝えると、守備への一歩が早くなってボールを奪えるようになっていく。主に左サイドでサイドバックの高橋峻希、サイドハーフの瀬川祐輔を中心としたパス交換でじわりと相手陣内でプレーする時間を伸ばすと、ボランチでコンビを組んだ三原雅俊と小林祐介が縦にパスを差し込んで、チャンスを生み出していった。それでもお互いに決定的に相手を崩すところまでは至らなかったので、前半の0-0は妥当とも言えた。
これを悔やんだのが、湘南の浮嶋敏監督。「流れがいい時間に取れなくて、流れがよくないときにつまらないファウルでセットプレーを与えて失点してしまった」と振り返るワンプレーが、試合の大きな流れを決定づけることになる。
後半開始早々の48分、柏が右サイドで得たFKで、山崎亮平がゴール左ポスト際にうまく落とすように送ると、走り込んできたのは呉屋大翔。ブロックする相手の背後から頭を突き出すようにして叩いたボールは、GKの手を弾いてゴールに吸い込まれた。決めた本人が「ボール良かったので、しっかり合わせるだけで入ってよかった」という一発で柏が理想的な時間に先制した。
ネルシーニョ監督は「後半のほうがゲームのボリュームがあり、ポゼッションを握ることができた。相手のゴールに近い位置でボールを動かせる回数が後半のほうが多かった」と振り返り、先制したあとも安定した戦いぶりに満足げ。湘南も選手交代などで攻撃に厚みを持たせて、終盤には連続攻撃を仕掛けたが、実らなかった。
結局、呉屋のゴールが決勝点となって柏が連勝とし、グルーブステージ突破を決めた。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE