上写真=ゴールにこの笑顔! アダイウトンのドリブルは驚異のスピードだった(写真◎J.LEAGUE)
■2020年7月18日 J1リーグ第5節(@味スタ:観衆4,705人)
FC東京 2-0 浦和
得点:(東)ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン
「喜びを与えられた」
あっという間だった。センターサークル内でパスを受けた浦和レッズの青木拓矢がトラップを弾ませてしまった。コースを切るように寄せていたアダイウトンが、これを見逃すはずはない。ボールを胸に当てて一瞬でかっさらうと、ゴールへ一直線。
たった一歩でトップギアに入る驚異の瞬発力はすさまじい。必死に追いかけてくる青木を楽々と振り切ると、カバーに入ってきたマウリシオと岩波拓也の間を難なくすり抜けるように右方向に突進する一人旅。腰を落として構えるGK西川周作をよく見て、丁寧に転がしてゴール左へ送り込んだ。わずか7秒の追加点。
61分に永井謙佑と交代でピッチに入ってからたった5分後の衝撃。まさしくロケットのようなドリブルに、サポーターからの拍手が鳴り止まなかった。
「ボールを奪って前にスペースがありましたので、得意なプレーであるパワーでフィニッシュまで持っていけてうれしいです」
パワーももちろんだが、楽しそうに、気持ちよさそうに駆け抜けていく姿が颯爽としていた。2013年以来、浦和から勝利を挙げていないというジンクスは、今年加入してきたばかりのこの男にはあまり関係ないようだった。
「非常にみんな気持ちが入っていましたし、いいゲームができました。難しい試合でしたが、前半の終わりに点を取ってゲームをコントロールできましたし、私も途中から入って点を取って勝利に貢献できてよかったです」
「サポーターの皆さんは声を出せない中でも、何とかして私たちを応援してくれている気持ちが感じられて、とてもうれしかったです。ゴールを決めることができて、サポーターにも喜びを与えられたと思っています」
今季は再開初戦の柏レイソル戦を除いて、ベンチスタートが続く。ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロとの「青赤三連星」は、今季のFC東京にとって、Jリーグのライバルを震撼させる最強の武器。磨き上げるためにも、ここから本気を見せなければならない。
「とても素晴らしいチームですから、この戦い方を続けていけば勝ち点を取れますし、タイトルも取れると思っています」
昨年は最後の最後で優勝をかっさらわれたが、そこにアダイウトンはいなかった。今季、ジュビロ磐田から獲得してくれたのは、手の届かなかった頂点にたどり着く重要な戦力と認めてくれたから。そう強く自覚しているからこその「優勝宣言」だ。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE