上写真=後半にJ1初ゴールを記録したMF鈴木(写真◎J.LEAGUE)
■2020年7月8日 J1リーグ第3節(@ニッパツ)
横浜FM 3-2湘南
得点:(横)天野純2、オナイウ阿道
(湘)中川寛斗、鈴木冬一
ラスト20分で攻撃にシフト
後半途中、選手交代とフォーメーション変更に伴い、横浜F・マリノスの仲川輝人が左サイドハーフへと移った。左タッチライン際へのパスも右足アウトサイドで叩く場面もあるなど、やりにくさも醸し出していたが、昨季リーグMVPはサイドを変えて以降、勢いを出し始めた感がある。それまで対面していた鈴木冬一にとっては、してやったりという思いだったかもしれない。
「(自身が対峙する横浜FMの)右サイドの松原(健)選手と仲川選手が(プレーの連係的に)つながっていることもあり、そこを抑えることを後半途中まで重視していた」と鈴木は語る。開始間もない8分には、相手ゴールに近い位置でスライディングを敢行して、イエローカードを頂戴した。以降もボールを持った相手にアタックするような守備を続け、周囲の仲間と連係しつつ、「メインは守備のところで、(仲川が)裏を取ってくるタイミングや、逆サイドからクロスに侵入してくるときや、ボールを持ったときの1対1の対応を自分なりに分析していました」と相手の鍵となるウイングに目を光らせ続けた。
また、試合の展開も読みどおりだった。「前半は結構押し込まれる展開でも、僕の中ではネガティブではなくて、(失点を)ゼロに抑えたら後半チャンスは来ると思っていました」。さらに狙っていたのは、残り20分を切ってオープンな展開になるであろう時間帯だった。「スペースがあるなかで、自分の武器であるドリブルやクロスをあの時間帯から発揮できていたので、今日はよかったのかなと思います」。逆転を許した直後の79分、カウンターの発動に自身もゴールを目指し、逆サイドからのクロスをゴールに蹴り込んだ。「逆サイドが持った瞬間に早く上がることをすごく意識していたので、それがうまくゴールにつながってよかった」と、やはり冷静にJ1初ゴールを分析した。
87分に勝ち越された後も、鈴木はまたも左サイドからゴールへ迫り、クロスバーを強烈に叩くシュートを放っている。オープンになった点の取り合いの中で、気持ちよさそうに流れに乗っていた。
ただし、敗れてしまったことは事実。「連戦が続く中で、最後の15、20分間の質に、もっとこだわってやっていかないと」。伸び盛りの20歳は、自分の未来をどう分析しているのだろうか。
取材◎杉山 孝 写真◎J.LEAGUE