1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第28回は、川崎フロンターレJ初制覇の立役者、小林悠を取り上げる。
プロ初のハットトリック
第21節でシーズン10得点目を決めると、第23節からは4試合連続の計4得点。無得点の1試合を挟み、第28節からも再び4試合連続の計5得点を挙げた。第29節のベガルタ仙台戦は、0-2とリードされた82分から3-2と逆転する鮮やかな勝利で、小林は84分と87分にゴールを決めている。さらに第33節ではアウェーで浦和レッズを1-0で下す決勝点を挙げ、シーズン20得点に到達した。
残り1試合で、得点ランクは2位。首位に立っていたのは22得点の杉本健勇(セレッソ大阪=当時)だった。さらに川崎Fも2位で、首位の鹿島アントラーズとの勝ち点差は2。川崎Fは得失点差でリードしており、最終節で勝ち、鹿島が引き分け以下なら初優勝という状況になった。
ホームに大宮アルディージャを迎えた最終節。小林は1-0とリードした前半アディショナルタイムにゴールを決めると、60分、81分にも決め、プロ初のハットトリックを達成して5-0の大勝に貢献した。鹿島はジュビロ磐田とアウェーで引き分け、川崎Fは逆転でJ1初優勝。小林も最終節で無得点に終わった杉本を逆転し、34試合出場・23得点で初の得点王に輝いた。
Jリーグアウォーズではチームの優勝、得点王に加え、MVPも獲得した。その表彰には夫人と2人の息子がサプライズで登場。長男から花束を受け取り、愛する家族とともに最高の瞬間を迎えた。