あの頃があるから今がある――。この連載では大学時代に大きく成長し、プロ入りを果たした選手たちを取り上げる。第3回は、無名の存在から専修大で飛躍的な成長を遂げ、プロに進んだMF下田北斗だ。

専修大の黄金期を築く

 全国大会とは無縁の高校時代を過ごしたが、コツコツと努力を重ねてきた。現在、川崎フロンターレで見せる、左足の正確なパスと強烈なミドルシュートも練習のたまもの。専修大では朝6時半から約2時間、仲間と一緒に汗をかいた後、個人の課題に取り組んだ。大学3年になり、プロの評価が聞こえるようになってもおごることはなく、同期の長澤に触発され、妥協せずに自分を追い込んだ。

「和輝は僕の上をいく選手なのに、すごく謙虚。それなのに僕が調子に乗ったらダメですよ。まだまだ物足りない。理想は展開力があって、点も取れるボランチです」

 関東大学1部リーグでは11年から13年までの3シーズンで15得点14アシストを記録し、3連覇に大きく貢献。13年はリーグMVPにも輝いている。本人が理想としていた司令塔となり、専修大の黄金期を築いた。

画像: 2014年に甲府に加入。その年のJ1開幕戦に先発してデビューを飾った(写真◎J.LEAGUE)

2014年に甲府に加入。その年のJ1開幕戦に先発してデビューを飾った(写真◎J.LEAGUE)

 大学生の頃は170センチ・60キロと今よりも細身だったこともあり、プロでの活躍に懐疑的な目を向ける関係者もいたが、その後は周知の通り。甲府、湘南ベルマーレを経て、18年にJ1王者の川崎Fに完全移籍で加入。昨季は15試合に出場し、要所で存在感を示した。今も走るボランチとして評価は高く、今季でプロ7年目を迎える。

 川崎Fの公式ホームページの長いプロフィール欄を見ると、川崎のおすすめスポットに専修大を挙げ、永遠のライバルには長澤和輝の名前がある。成長しても、原点を忘れていないのだろう。

画像: 2016年に湘南に移籍。チームがJ2に降格した翌年も残留してプレーした(写真◎J.LEAGUE)

2016年に湘南に移籍。チームがJ2に降格した翌年も残留してプレーした(写真◎J.LEAGUE)

画像: 2018年から川崎Fでプレー。19年はJ1リーグ15試合に出場した(写真◎J.LEAGUE)

2018年から川崎Fでプレー。19年はJ1リーグ15試合に出場した(写真◎J.LEAGUE)

しもだ・ほくと◎1991年11月7日生まれ。神奈川県出身。神奈川・大清水高校(現:藤沢清流高校)を卒業後、専修大へ入学。大学時代は関東大学リーグ3連覇に貢献した。2014年にヴァンフォーレ甲府に加入し、16年に湘南ベルマーレに完全移籍。18年から川崎Fに加入し、今季で3年目を迎える。優れたパスセンスを持ち、左利きのボランチとして重用されている。171cm、66kg

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