Jリーグは現在、新型コロナウイルスの影響で中断している。4月3日に再開予定だが、予断は許さない状況だ。そんな中で、この難しい時間をポジティブなものに変えようとしている選手がいる。湘南ベルマーレのDF石原広教だ。

上写真=熱のこもった練習で再開に向けて準備を進める石原広教(写真◎杉山孝)

やるべきプレーは変わらない

 右サイドを主戦場としながら、19日の練習では左サイドに入ることもあった。それでも石原広教は、「どこをやりたいとか、やれないとか、どこがやりやすいとか、前から考えていないので。左右どちらをやろうが、別に自分がやるべきプレーというのは絶対に変わりません。与えられたポジションでやるだけです」と飄々と話す。

 浦和とのリーグ開幕戦では、右のウインバックとして先発。ボールを持てば、果敢に1対1で勝負していた。その強気な仕掛けだけを見ていると、これまでGKやCBとしてプレーしていた時間が長かったとは、にわかには信じがたい。

 それでも石原は、「スピードはあるほうだったので小学校でGKをやっているときもフィールドをやらせてもらったし、CBをやる機会も多かったけど、インナーラップで上がっていって普通に点を取ったりしていたので。走るということはずっとやっていたし、“自分のプレー”はその頃からやっています」と、やはり飄々としているのだ。

 そこに自信が加わった。トップチームに昇格後、2年間でのリーグ戦出場数は17試合どまりだった。だが、昨季に期限付きで福岡へ移籍すると、37試合に出場。イタリア人指揮官の下でも、監督交代があっても、ピッチに立ち続けた。

「それまでもJ1で数試合出させてもらって、その頃も自信がないわけじゃなかったけど、もっと自分がやれるプレーをしっかり出せるようになりました。迷いもなく自信を持ってやれるようになった。余裕ができたというのはあります」

 迷わず、前へ。2-2で迎えた浦和戦の69分、ボックス内にクロスを送った後、自らも足を止めずに飛び込んでいく。ボールをもらって縦に仕掛けると、このプレーでPKを獲得した。このPKは決まらず勝ち越しこそならなかったが、存在感は十分に示していた。

 福岡では当初、新しい戦術や移籍先に溶け込む難しさを感じたという。一方で、小学校時代からプレーしてきた湘南を初めて離れることで、芽生える気持ちもあった。それを石原は、「責任感」と表現した。「年下だったので口で言うのには難しさがあったのですが、それよりもプレーの方が響くんじゃないかなと思ったんです。だから、とにかく戦い続けるというのは意識していました」。福岡で身につけたものは、今季の石原にも息づき続けている。

 逆転負けで落とした開幕戦だが、内容は悪くなかった。それだけに一層残念な中断期間だが、石原は下を向かない。

「練習試合はありましたが、やはり気持ち的に難しい時間が続いたということはあります。でも、この時期、時間を大切にするということが、チーム全員でしっかりできています。むしろこの期間でまたつくり直せるというのは、それはそれで良かったと思います」

 足を止めることなく、前へと進み続けていく。

取材◎杉山 孝

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