現在、Jリーグは開幕戦を終えて中断中だが、この連載では再開後のリーグ戦でさらなる活躍が期待される各クラブの注目選手を紹介していく。連載第11回は、川崎フロンターレの新加入選手、MF三笘薫を取り上げる。

右足アウトという個性

画像: ルヴァンカップの清水戦では86分から出場して小林悠のゴールをアシストした(写真◎J.LEAGUE)

ルヴァンカップの清水戦では86分から出場して小林悠のゴールをアシストした(写真◎J.LEAGUE)

 日本人らしからぬスケールの大きなドリブラーだが、味方と高密度で連動して崩す感覚も十分。とくに唐突に放つ右足アウトのパスは狭い空間でも確実にすり抜けていく。足の振り幅が小さく、守備者はタイミングを読めないからだ。

 止める、蹴る――いや、運ぶときまでやたらと右足アウトを多用するあたりが面白い。独特の個性か。

 川崎Fの強みと言えば、シンプルなパスの連続で敵の本丸に迫るつなぎの妙。いまだJ1きっての破壊力を持つが、それだけでは崩せない試合もある。開幕戦もドローに終わったが、確実に勝ち点を積み上げ、王座へ返り咲くには4-3-3という新布陣以外の「新手」もほしい。

 異色の三笘はその格好の人材だろう。ここ一番で仕掛ける鮮やかな一騎駆けは攻め手に詰まったときの有力なバックドア(裏口)となるシロモノだ。

 また、同じ大卒新人の旗手怜央とは言葉いらずの以心伝心。さらに2歳上の脇坂泰斗、1歳下の田中碧とはクラブのアカデミーで育った間柄で一瞬の企図も共有しやすい。異質の個性が埋没するどころか、大いに輝く環境が整っている。

 ただ、守りの強度を上げないと、スタメンでは使ってもらえない。その点において鬼木達監督は妥協のない人だ。先発でも不思議はないのに、その実はサブ――という見立て違いは本人もお断りだろう。その「誤差」だけは正すに限る。

Profile
みとま・かおる◎1997年5月20日生まれ、神奈川県川崎市出身。川崎フロンターレのアカデミーで育ち、筑波大に進学し、ユニバーシアード優勝など活躍。また、大学2年次から特別指定選手として川崎Fの練習等に参加し、昨年はルヴァンカップに出場した。今季正式に入団し、ルヴァンカップ開幕戦では途中出場し、ドリブルからアシストを記録した。MF。178cm、71㎏


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