上写真=戸苅淳フットボール本部長、レオナルド、伊藤涼太郎、土田尚史スポーツダイレクター(写真◎サッカーマガジン)
補強は最小限で現有戦力が軸
異例の新加入会見となった。壇上に並んだ選手はFWレオナルドとMF伊藤涼太郎(期限付き移籍していた大分トリニータから復帰)の2人のみ。この日、会見を欠席した全国高校選手権に出場中のMF武田英寿(青森山田高)を加えても3人である。新戦力の頭数だけそろえればいいものではないが、昨季8人の新顔並が並んだことを考えれば、寂しさは拭えない。
毎年のように移籍市場を賑わせてきたビッグクラブが変わりつつある。昨年12月には強化体制を刷新。新しくスポーツダイレクターに就任した土田尚史氏はマイクを握り、指針を説明した。
「補強は継続して考えていきますが、現有戦力には、素晴らしい選手たちがそろっています。その個々の能力を最大限発揮させていきたいです」
現状トップチームの人数は29人。すでに1月7日から始動しており、大幅な選手の入れ替えや、増えることも考えにくい。「選手の枠もありますから」と土田SDは現有戦力を軸に戦っていくことを示唆した。
クラブは2022年のリーグ優勝を目指し、3年計画で強化していくことをすでに宣言している。昨年7月に就任した大槻毅監督体制を継続させ、今季は改革の1年目を迎える。
課題だった得点力不足を補うために補強したブラジル人FWへの期待は大きい。日本での実績は十分。来日1年目の18年はガイナーレ鳥取でJ3得点ランクのトップに立ち、昨季はアルビレックス新潟でJ2得点王を獲得した。「うどんが好き」という親日家のストライカーは日本のサッカーにすっかり馴染んでおり、J1の舞台でも大暴れすることを誓う。
「最優先はチームのタイトルですが、(個人として)23ゴールは取りたい。それだけ取れば、得点王も見えてきます」
2シーズン前にJ1の得点王に輝いたブラジル人のジョー(名古屋グランパス)が24点を記録したことを例に挙げ、具体的な目標を数字で示した。昨季のチーム総得点はワースト4位の34ゴール。エースの興梠慎三頼みから脱却するためにも新戦力の爆発は欠かせない。
昨季はリーグとACLの2冠達成を掲げながら無冠に終わった。ACL決勝進出を果たしたが、リーグ戦は14位に沈んでいる。その現実をしっかり見つめ、今季はACL出場権の獲得を目指す。
取材◎杉園昌之