マリノスのJ1優勝は15年ぶりだが、横浜で優勝を決めたのは16年ぶり。前回2003年と今回の優勝決定試合には、GKをめぐる不思議な共通点があった。どちらも現場で取材した筆者が、前回と今回の思い出を振り返る。
「『イエローでよかったね』と話していたら…」
今年7月に広島からの期限付き移籍で加入した中林は下川同様、これが横浜FMで初めてのリーグ戦出場だった。前半で2-0とした横浜FMはすでに、残り20分強で6失点しなければ優勝という優位な状況。ただ、最初は警告だった朴一圭が一転、退場処分となったことで、ピッチに入るまではバタバタしたという。
「ベンチで『イエローでよかったね』と話していたら、覆ってしまって…。でもレッドの瞬間が見えたので、『何があったんだろう』と思いつつ、監督やコーチには『楽しんでこい』と送り出されました」
朴一圭ほどビルドアップには加わらなかったが、機を見て素早くパントキックを繰り出すなど、横浜FMの攻撃的なスタイルにふさわしいプレーも見せた。加入後に「攻撃的に、と言いますが、守備から攻撃的に・積極的に、というところを肌で感じた」と語る、横浜FMで求められる働きに沿ったプレーを続け、ピッチ上で優勝の瞬間を迎えた。
キャリア初のJ1優勝。横浜市出身で、中学時代は横浜FMジュニアユース菅田でプレーしている中林にとっては『古巣』での初戴冠で、「こうやって関わることができたのは非常にうれしい。このタイミングで(横浜FMに)いられたことに、思うところがある」という。期限付き移籍先でのタイトル獲得については、「どのチームに行っても、やれることは限られていると思っています。それをしっかり、ブレずにできていたから、ラッキーではありますが、最後の出場につながったのかな」と語った。