12月7日、J1リーグ最終節が開催され、首位の横浜F・マリノスが2位FC東京との直接対決を制し、1995年、2003年、2004年に続き、15年ぶり4度目の優勝を決めた。

上写真=大一番で先制点を挙げたエリキ(左から3人目/写真◎J.LEAGUE)

■2019年12月7日 J1リーグ第34節(最終節)
横浜FM 3-0 FC東京
得点:(横)ティーラトン、エリキ、遠藤渓太    

マリノスらしさが詰まったゲーム

 朝方に初雪が降った横浜だったが、日産スタジアムは熱かった。最終節に首位チームと2位のチームの直接対決が実現し、その結果、優勝が決まるというシチュエーション。文字通りの優勝決定戦を見るために、6万3854人もの観客が集まった。

 試合開始前の状況を整理すれば、マリノスがFC東京を勝ち点で3ポイント上回り、得失点差でも7点のアドバンテージがあった。つまり、FC東京が逆転優勝するには直接対決でも4点が必要で、マリノスの優位は動かしがたいものがあった。

 ただ、往々にしてあるのが、優位な状況であるがゆえに、受けに回ってしまうケースだ。マリノスはボールを積極的に動かし、運動量で相手を上回り、スピードを生かす攻撃サッカーでここまで勝利を重ねてきた。普段のマリノスか。重圧で硬くなってしまうのか。優勝決定戦でどんな戦いを見せるかに注目が集まっていた。

 結果から言えば、マリノスはマリノスのままだった。受けに回ることはなく、攻撃的な姿勢を貫いたのだ。

 優勝するには大量得点で勝つよりほかないFC東京も積極的なハイプレスからゴールを目指すが、マリノスもボールを奪うやリーググ随一の鋭さを持つカウンターを繰り出して応戦。試合開始直後から攻守が目まぐるしく入れ替わる展開に、スタンドも一気に熱を帯びていった。

 そして、この試合の明暗を分ける1点が前半26分に生まれた。エリキ、和田拓也とつないだボールをティーラトンが受けると、左足を強振。スライディングに来た東慶悟に当たって軌道が変わったが、ボールは相手GK林彰洋の頭上を越えてゴールに吸い込まれた。

 重圧のかかるゲームでも普段通りの戦いを見せていたマリノスは、この先制点で、さらに軽やかにピッチを駆ける。2点目が生まれのも前半だ。44分、マルコス・ジュニオールがドリブルで持ち上がり、エリア手前のエリキへパス。小川諒也に寄せられるが、エリキが粘ってシュートコースを作り、素早くゴール左へ蹴り込んだ。

 2-0とマリノスがリードして前半終了。FC東京が優勝するには6点が必要となった。つまり、45分を終えて、マリノスはすでに手にしていたアドバンテージを、さらに盤石なものに変えたのだった。

朴一圭の退場を乗り越えて

 後半に入ると、FC東京が圧力を強めた。永井謙佑を中心に相手DFの背後を狙う。その姿勢が62分にビッグチャンスを生んだ。森重真人のフィードを受けた田川亨介が前方へ浮き球を送り、永井が反応。GK朴一圭にエリア手前で倒されてしまった。

 このプレーで朴が退場となり、FC東京はFKのチャンスを得る。森重が直接狙ったFKはゴールをとらえることができなかったものの、1人多い状況になって、FC東京はますます攻勢を強めることになった。しかし…。

 今シーズンのマリノスは逆境を跳ね返す力をも、備えていた。朴の退場後、M・ジュニオールに代わってGK中林洋次を投入。攻撃の駒を減らすことになったが、マテウスに代わって60分過ぎからピッチに立っていた遠藤渓太が大きな仕事をやってのける。

 ハーフウェーライン付近からドリブルを開始すると、一気にエリア内に進入。対峙した同世代のDF渡辺剛をかわして左足を振り抜き、勝利を決定づける3点目を叩き込んだ。

 これで勝負あった。その後はFC東京の攻撃を集中した守備で防ぎ、試合は3-0のまま終了。4点が必要だった相手に3点を叩き込み、マリノスが快勝でタイトルをつかみ取った。

「われわれがチャンピオンです。優勝しました! 選手もスタッフも自分は誇りに思います。こうしてたくさんのサポーターと優勝を分かち合えてうれしいです。(最後の試合をどんな気持ちで?)得失点差なんて関係なく、われわれが一番なんです!」

 試合後のスタジアムでファン・サポーターに向けて、アンジェ・ポステコグルー監督はそう絶叫した。横浜F・マリノスは指揮官の掲げる攻撃サッカーを最後の最後まで貫き、2004年以来、15年ぶり4度目となる優勝を手にした。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE

おすすめ記事

サッカーマガジン 2020年1月号

This article is a sponsored article by
''.