首位FC東京を追う上位チーム同士の対戦は、開始20秒に鹿島が先制する。横浜FM守備陣に激しいプレスをかけてボールを奪うと、セルジーニョが左足で鮮やかにゴールネットを揺らした。その後、1-0で迎えた68分に横浜FMの仲川輝人に同点弾を許すも、終了間際の87分に東京五輪世代のFW上田綺世が右足で決勝ゴールを決め、鹿島が2-1で競り勝った。

上写真=リーグ戦3試合目の出場でJ1初ゴールを決めた上田(写真◎J.LEAGUE)

■2019年8月10日 J1リーグ第22節
鹿島 2-1 横浜FM
得点者:(鹿)セルジーニョ、上田綺世 (横)仲川輝人

「聞き慣れた応援歌に感動した」

 1-1の同点で迎えた73分、鹿島のFW上田綺世がプロ3試合目の交代出場を果たした。大岩剛監督から「点を取ってこい」と背中を押され、子どもの頃から足を運んだ“ホーム”カシマスタジアムのピッチに立った。

「憧れの応援歌と、あれだけの熱いサポーターの皆さんの前でプレーできることには、特別な思いがあります。自分の中では聞き慣れた応援歌に感動したし、(試合に)入っていきやすかった」

 そして、待望の瞬間は87分に訪れる。三竿健斗が前線へ送った浮き球パスを土居聖真が頭で落とし、上田が右足でゴールに蹴り込んだ。

「相手の最終ラインの高いところが気になっていた。(オフサイドを取られることが)ないように気を付けながら、それをうまく利用したいという狙いがあったので、うまく決められたと思います。こみ上げてくるものがすごくあったし、喜びでいっぱいでした」

 この日放った唯一のシュートが、ゴールを射止めた。「ゴールは取れましたけれど、もっとシュートチャンスを作らなければいけない」と反省しつつも、「2試合ゴールを取れていなかったので、やっと取れた。自分の仕事を果たせた達成感はありますね」と、初ゴールに安堵の表情を浮かべた。

 この勝利で鹿島は2位に浮上。首位のFC東京を勝ち点差「7」で追っている。2シーズン遠ざかっているJ1の覇権を逆転で手にするためには、上田のゴール量産も必要となるだろう。

「(シーズンで)何点取るということではなく、チームが勝つために必要な点を取ることがフォワードの仕事だと思っている。これからも、それを目標にして頑張りたい」

 リーグ・タイトル奪還へ。鹿島の新たなストライカーが、さらなる活躍を誓う。

取材◎小林康幸

おすすめ記事

サッカーマガジン 2019年9月号


This article is a sponsored article by
''.