上写真=湘南への加入が内定している大津の福島
写真◎森田将義

「みんなにはできないことをしたい」

 2006年ドイツ・ワールドカップ戦士のFW巻誠一郎(熊本)を筆頭に、これまでに多くのJリーガーを輩出してきた大津。そんな〝公立の雄〟で1年時からレギュラーポジションを獲得し、2年時には上級生がいる中でも主将を務めたのが福島隼斗だ。

 最大の武器は優れた状況判断。さらに、的確な読みを生かしたカバーリング能力と、対人の強さも見る者の目を引く。その安定感は、センターバックとしては小柄な180センチという身長の不安を微塵も感じさせない。

 昨年度まではボランチを主戦場としていた。本格的にセンターバックにコンバートされたのは、今年6月のインターハイ予選を終えてから。現在は、空中戦に強いU−18日本代表候補のDF吉村仁志とコンビを組み、今年度の高体連でナンバーワンと言っても過言でないほどの強固さを示している。

「自分がセンターバックに入るのは、ボールの配球役となるため。みんなにはできないことをしたい」と話すように、最終ラインから前線のアタッカー陣へと繰り出す正確なロングフィードも特長の一つだ。福島を起点とする迫力あふれる攻撃は、今年度の大津のストロングポイントとなっている。

 そんな世代屈指の実力者をプロクラブが放っておくはずがない。6月末には湘南の練習に参加。自己紹介ではプロの先輩たちから笑いをとり、すんなりチームに溶け込んだ。紅白戦では3バックの右でプレー。当初はプロのスピードに戸惑いも見せたが、徐々に慣れていくと、競り合いの強さとビルドアップの能力を存分に示した。

「緊張したけれど、やれないことはなかったし、自信にもつながった」

 ワンランク上のステージを経験し、運動量の向上にも取り組む。選手が最終ラインから前線へ一気に攻め上がる“湘南スタイル”に順応するためだ。

 ロールモデルとなる選手を見つけられたことも、大きな転機となった。湘南で大卒ルーキーながらレギュラーの座をつかむDF坂圭祐のプレーに衝撃を受けた。「身長はそこまで高くないけれど、競り合いに強くてロングボールも正確。自分に似ているタイプだと感じた」と、印象を話す。

 坂本人には「緊張して、自分から話しかけられなかった」と言うが、湘南の選手やスタッフの優しさにも感銘を受け、他チームの練習に参加することなく、入団を決意した。プロ入り後は、植田直通(セルクル・ブルージュ)や谷口彰悟(川崎F)ら、高校の先輩たちが経験したA代表入りも志す。

 ただ、今は残された高校生活のことしか考えていない。インターハイでは準々決勝で敗れ、ベスト8に終わった。日本一へ、残されたチャンスは、全国高校選手権のみ。過去2年は熊本県予選で涙をのんでいるだけに、今年度に懸ける思いは人一倍強い。

 高校生活の集大成の舞台で、自身と大津の悲願である日本一を目指す。

文◎森田将義

福島隼斗[DF/大津/3年]
ふくしま・はやと/2000年4月26日生まれ、宇城市立松橋中学校出身。状況判断力に優れ、攻守において存在感を示す。対人の強さと、正確なフィードが特長。守備的なポジションを複数こなす。湘南ベルマーレ加入内定。180cm、68kg


This article is a sponsored article by
''.