AFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)で見事に優勝を飾ったガンバ大阪。完全アウェーでのタフなゲームをデニス・ヒュメットのゴールと集中した堅守で1-0で制して、チャンピオンの称号を手に入れた。現地で取材した高村美砂氏が、その貴重な裏話をたっぷりと綴る。

「10人」が収まった一葉の写真

画像: アカデミー出身者で記念撮影。Jリーグの理想の姿がここにある(写真◎GAMBA OSAKA)

アカデミー出身者で記念撮影。Jリーグの理想の姿がここにある(写真◎GAMBA OSAKA)

 試合後、優勝セレモニーを終え、ガンバサポーターとも歓喜を分かち合ったあと、ピッチでは10人の選手が肩を組んで写真に収まった。

 東口順昭、倉田秋、宇佐美貴史、初瀬亮、食野亮太郎、唐山翔自、南野遥海、中村仁郎、山本天翔、荒木琉偉。

 共通項は『ガンバアカデミー育ち』。その中では『中堅』にあたる初瀬が、声を弾ませた。

「なんか自然に、アカデミーで撮ろうぜ! みたいな感じになった。ファイナルという舞台にこれだけのアカデミー出身選手がいるのはガンバならではの良さ。アカデミー時代は一緒にプレーしていなかった選手同士が、プロとして同じガンバのユニフォームを着て、同じピッチで戦えるなんて、こんな幸せなことはないでしょ!

 考えてみれば、最年長のヒガシくん(東口)から最年少の琉偉(荒木)まで年齢差は22くらいあるけど、ってことは、いまジュニアユースやユースでプレーしている選手たちと僕たちが、近い将来、こういう舞台をともにできる可能性もあるってことですから。

 これこそがプロの育成組織としての理想系というか『アカデミー』の良さだと思うので。こういう歴史をもっともっとつないでいきたいと思いました」

 一番の年下の荒木も感慨深い。

「クラブにとってアカデミー出身選手がたくさんいるのはすごく意味があること。これからももっともっとアカデミーからいい選手を輩出していきたいです…あれ? これを僕が言うのはおかしいな(笑)。違う! 僕もアカデミー出身として、後輩たちが続けるように頑張っていきたいってことです」

 初瀬も気がつけば28歳。最年少の荒木とはすでに10の歳の差があるが、後輩たちの姿をどう見ているのか。

「いやぁ、たくましい! たくましいし、僕らが彼らの年齢だったときのことを思い返すと、断然、のびのびサッカーをしています! 僕らの時代はもっと偉大な先輩方に怯えてサッカーをしてたけどなぁ。僕らの偉大さが足りないのか、優しすぎるのか、はたまた彼らが鈍感なのか…いや、きっと時代ですね(笑)! いまの時代にはこの空気が合っているってこと。みんなかわいくて、生意気な後輩ばかりで先輩冥利に尽きます!」

 余談だが、帰国後の優勝報告会では、ビールかけ会場で念願の「ガンバでのパーリー!パーリー!」を実現させた初瀬。

「ガンバでタイトルを獲りたいという思いでここに帰ってきましたけど、こんなに早く実現できるとは思っていなかった。僕、持ってると思います(笑)! というか持ち続ける男でありたいです!

 ちなみにパーリーパーリーは、シンくん(中谷)にやらされました! そしてあの日だけはほんまにもう呑み過ぎました! 呑んで吐く…どころか、吐いたのかどうかもわからん状態で、気づけば家のベッドで寝ていました」

 ビール掛けのあとも、極上の勝利の美酒に酔いしれたことを明かした。

池谷銀姿郎のプレイリスト

 G大阪の公式YouTubeで、試合を終えてホテルに戻ったチームが食事会場でケツメイシの『仲間』を大合唱していたシーンはご覧になっただろうか。

 あのシーンに限らず、試合前後のロッカールームやウォーミングアップ場ではいつもさまざまな音楽が流れているが、そのセレクトを担当してきたのが池谷銀姿郎だ。筑波大学時代もその役割を担っていたという彼は、決勝の舞台でも「新しい曲を、継ぎ足し、継ぎ足しで作っている」という自作プレイリストから曲を選び、その場の雰囲気に見合った音楽を流してきた。

「みんなが『これいいんじゃない!』みたいな曲を僕が編集して作っています。基本、みんなが知っていそうな、口ずさめて楽しめそうな、気持ちが上がりそうな曲を選んでいます」

 食事会場で流した『仲間』もその一曲。

「あの時はもう盛り上がり過ぎていて、みんなが『この曲を流せ、ギン!』みたいになっていたので、『わかりました、いきます!』って次々にみんなのリクエスト曲を流していった感じでしたけど、あんなにみんなで大合唱したのは初めてだったし、あんなふうに喜びを共有できたのはうれしかったです!」 

 残念ながら決勝で池谷自身の出場はなかったが、たくさんの刺激を得ることができたのだと言葉を続けた。

「自分自身が貢献できた部分はまだまだ小さなものだけど、1年目からこういう経験をできたのは運もいいなと思いますし、ここに来ることができたから『こういう瞬間をより多く味わえるようにもっと頑張ろう』とも思えた。自分でそのチャンスを掴み取るためにもまたここから頑張っていきます」

取材・文◎高村美砂[フリーランスライター]


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