横浜F・マリノスが壮絶な戦いを乗り越えて、クラブ史上初めて、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)でベスト8に進出した。2月21日のラウンド16第2戦でタイの・バンコク・ユナイテッドと戦い、延長戦までもつれ込んだが1-0で競り勝って、2試合合計3-2で8強入りを果たした。

上写真=アンデルソン・ロペスが最後に決めて、歴史を作った(写真◎Getty Images)

■2024年2月21日 AFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16第2戦(@横浜国際)
横浜FM 1-0 バンコク・ユナイテッド(タイ)
得点:(横)アンデルソン・ロペス
※2試合合計3-2で横浜FMが準々決勝に進出

「最後の最後までやり切る姿勢を見せてくれた」

「あのPKはいつも練習していて、蹴り方に自信があるので、PKになったときにはとてもうれしかったです。本当に落ち着いて蹴ることができました」

 アンデルソン・ロペスがボールに向かって走って一度止まりかけ、GKを誘うような動きで先に重心を動かすと、その逆、右サイドに左足で軽やかに送り込んだ。120+2分に決めたPKが決勝点だ。横浜F・マリノスがクラブ史上初めて、ACLでベスト8進出を果たした。

 ラウンド16の第1戦は2月14日にアウェーで戦って、後半アディショナルタイムに2-2に追いつかれる嫌な流れ。それがこの日も続いたのか、苦しい立ち上がりになった。雨でボールの動きがやや重くなり、アウェーで守備から入ってカウンターを狙う相手の慎重な戦い方もあって、前半はローペース。後半に入って60分に天野純と宮市亮が入ると全体が攻撃でアクティブになり、見せ場を作った。

 78分に渡邊泰基がペナルティーエリアの中に差して、アンデルソン・ロペスが切り返してから右足シュート、GKが指で触って右ポストに当たると、こぼれ球に天野が詰めていたが押し込みきれず。83分には、左サイドバックに代わって入ったばかりの永戸勝也の縦パスで宮市が左に抜け出してセンタリング、天野が右足で合わせるが右に切れていく。90+10分には右からの角度のついたヤン・マテウスの鋭いクロスに宮市が逆から飛び込んで至近距離からヘッドで狙うが、GKに防がれた。

 この勢いは延長戦に入っても変わらず、ほとんど相手陣内でプレー。山根陸が中央をこじ開けようと際どい縦パスを入れたり、宮市とヤン・マテウスがポジションを入れ替えてラインブレイクを図るなど、さらに工夫を凝らして攻め続けた。足りないのはゴールだけだった。

 それでも、最後の最後まで攻め抜いたことが、実を結ぶのだ。89分から出場していた村上悠緋が右サイドを豪快に突破して、ゴールライン間際から折り返すと、DFの腕に当たってハンドのファウルに。最初はペナルティーエリアの外という判定でFKを与えられたが、VARチェックの結果、PKに変更。アンデルソン・ロペスが決めて120+2分についに先制し、そのまま逃げ切った。

 試合の流れを変えた天野は「僕に4回もチャンスがあったのに決めきれなくて」、同じく宮市も「ゴール前のクオリティーが物足りない」と、ともに思わず苦笑いも漏らした。ハリー・キューウェル監督も「フラストレーションがたまる展開だった」。それでも続けて「最後の最後までやり切る姿勢を見せてくれた」と勝利への意欲を高く評価した。

 キューウェル監督は日本で初めて指揮を執った試合で劇的な勝利を挙げて、初のベスト8入りという歴史を作った。しかも、川崎フロンターレ、ヴァンフォーレ甲府はこのラウンド16で大会を去ることになっり、今大会で勝ち抜きに成功した日本で唯一のクラブだ。次は日本サッカーの期待を全身に背負って、新たな戦いに挑んでいく。


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