スタートとすれば良いアプローチ
先制点を含む2ゴールをあげた藤尾翔太（写真◎山口高明）
「今回の合宿、試合の意味と、これがスタートであるという点で見れば非常に良いアプローチでした。こういう状況で試合をしてくれた横浜F・マリノスさんには感謝しても仕切れません」と大岩監督は今回の活動の感想を語り、「われわれのベーシックなところを要求をしたなかで、攻守のポジションや役割を認識して表現できる選手たちであってほしいということは伝えた」と選手たちのさらなる成長にも期待を寄せた。
合宿を実施するにあたり、直に見ることで選手の今を「見極め」たいとも話していたが、「普段からリサーチはしていますが、実際に練習や試合を見て印象が違う選手はたくさんいました。良い驚きもあれば悪い驚きもあって、その意味でコーチングスタッフにとっては良いゲームだったと感じています」とすべてがポジティブな印象だけではなかったという。ただ、今回の活動で刺激を受け、求められる水準を認識した選手たちが、今後の活動でそれらをどう生かしていくのか。指揮官が注目するのは、まさにこの部分だろう。
選手が目指すべきは「Ａ代表経由パリ五輪行き」ではなく、「Ａ代表に定着してパリ五輪に出場」すること。活動初日のミーティングから指揮官は繰り返し強調し、9日の練習試合後には、Ａ代表の森保一監督が選手たちと話す機会を設けて、「いつも見ている」ことを改めて伝えたという。
「世界大会がなくなってしまったり、（コロナ禍で）活動が制限されてしまったりするなかで、私はJリーグでしっかりプレーし、高い強度のなかで何ができるのかを求めたい」
半田や鈴木海、鈴木彩、藤田、三戸、成岡、田中、佐々木ら2019年のU-17W杯に参加した選手たちは、昨年予定されていたU-20W杯がコロナ禍で中止となり、悔しい経験をした。そのぶん、23歳以下の世界大会であるパリ五輪への思いは強いだろう。一方でこれまで代表と無縁だった小堀のように今回の合宿で存在をアピールし、この数年で大きく成長してきた選手もいる。競争はいまも、これからも、し烈だが、その根本となるのは、日常の活動だ。
濃密な日々の活動はパリへとつながっている。つまりは世界に通じている。
チームは今月23日から開催されるドバイカップを経て、5月にウズベキスタンで行われるU-23アジアカップに臨む。まずは日常とパリ五輪の間にあるこの2大会で、選手は自らの力を発揮することになる。
◆トレーニングキャンプ参加メンバー
※（所属◎生年月日／身長､体重）
▼GK
小畑 裕馬（仙台◎01.11.07／183cm､79kg）
山田 大樹（鹿島◎02.01.08／190cm､82kg）
佐々木 雅士（柏◎02.05.01 185cm､79kg）
鈴木 彩艶（浦和◎02.08.21／190cm､93kg）
▼DF
成瀬 竣平（名古屋◎01.01.17／166cm､66kg）
西尾 隆矢（C大阪◎01.05.16／180cm､77kg）
木村 誠二（山形◎01.08.24／186cm､80kg）
加藤 聖（長崎◎01.09.16／171cm､64kg）
馬場 晴也（東京V◎01.10.24／181cm､76kg）
半田 陸（山形◎02.01.01／176cm､63kg）
大嶽 拓馬（柏◎02.08.08／172cm､68kg）
チェイス・アンリ（尚志高◎04.03.24／183cm､75kg）
◎鈴木 海音（栃木◎02.08.25／182㎝､72㎏）
▼MF
宮城 天（川崎F◎01.06.02／177cm､70kg）
鮎川 峻（広島◎01.09.15／164cm､65kg）
鈴木 唯人（清水◎01.10.25／175cm､70kg）
山本 理仁（東京V◎01.12.12／176cm､65kg）
藤田 譲瑠チマ（横浜FM◎02.02.16／174cm､74kg）
櫻井 辰徳（徳島◎02.07.26／178cm､68kg）
田中 聡（湘南◎02.08.13／173cm､70kg）
平岡 大陽（湘南◎02.09.14／173cm､68kg）
甲田 英將（名古屋◎03.10.02／167cm､61kg）
◎三戸 舜介（新潟◎02.09.28／164㎝､60kg）
◎成岡 輝瑠（清水◎02.07.28／170㎝､60㎏）
▼FW
藤尾 翔太（徳島◎01.05.02／180cm､67kg）
櫻川 ソロモン（千葉◎01.08.04／190cm､94kg）
◎小堀 空（栃木◎02.12.17／186㎝､78kg）
※◎＝追加招集
