7月4日に2021Jエリートリーグのガイナーレ鳥取とファジアーノ岡山の一戦が行なわれた。両チームともトップチームの戦力底上げを見据えたメンバー構成ながら、若手選手も多く出場して貴重な経験を積んでいる。

上写真=チュウブYAJINスタジアムで行なわれた鳥取と岡山のJエリートリーグ(写真◎石倉利英)

■2021年7月4日 Jエリートリーグ・グループB(@チュスタ:観衆213人)
鳥取 1-2 岡山
得点:(鳥)佐伯蓮
    (岡)下口稚葉、野口竜彦

・鳥取メンバー◎GK福留健吾(HT:糸原紘史郎)DF横川旦陽、坂本敬、藤原拓也、小山珠里、MF田口裕也(HT:佐伯蓮)、市晴貴(57分:川原那月)、原田虹輝、清永丈瑠(HT:目次康晟)、FW谷尾昂也、大久保優(71分:長光晃輝)

・岡山メンバー◎GK金山隼樹(HT:椎名一馬)、DF阿部海大、濱田水輝(71分:紙元大翔)、田中裕介(57分:渡邊真宏)、下口稚葉、河野諒祐(57分:松木駿之介)、MF疋田優人、パウリーニョ(HT:曽田一騎)、木村太哉(HT:宮倉樹里杏)、山田恭也(77分:福元友哉)、FW野口竜彦

練習生も出場が可能

 今季新設されたJエリートリーグは、『ポストユース』と位置付けられる21歳以下の選手の試合出場と、アカデミー所属選手の飛び級の機会を創出するとともに、トップチームとアカデミー、地域との連携を深める機会を提供することを目的としている。各試合は90分間で、勝敗が決しない場合は引き分け。下記のグループごとに総当たり2回戦制のリーグ戦を行ない、順位を決定する。

・グループA:北海道コンサドーレ札幌、水戸ホーリーホック、浦和レッズ、横浜F・マリノス、清水エスパルス、名古屋グランパス

・グループB:ガイナーレ鳥取、ファジアーノ岡山、徳島ヴォルティス、愛媛FC

・グループC:アビスパ福岡、V・ファーレン長崎、鹿児島ユナイテッドFC、FC琉球

 各試合の選手エントリーはJリーグと同じ、最大18人だが、全7人の交代出場が可能(交代回数はハーフタイムを除いて3回まで)。クラブに所属していない練習生もJリーグの承認を得てエントリーが可能で、2021年12月末時点で満年齢21歳以下の選手を3人以上、エントリーしなくてはならないという制限も設けられている。

 これまでの試合を見ると、年齢や国籍に関係なく、リーグ戦で出場機会の少ない選手を起用しているクラブが多く、トップチームの戦力底上げが主目的となっている傾向が見られる。この日の鳥取と岡山の先発メンバーにも、前日のリーグ戦に交代出場した選手が多く含まれていた。

 一方、練習生やアカデミーの選手もチャンスを得ている。この日の鳥取はU-18所属選手が先発に1人、控えに6人が入っており、うち5人が出場。岡山も控えにU-18所属選手が1人、環太平洋大や立教大在学中の練習生が3人入っており、全4人が交代出場している。

 試合は立ち上がりの8分に下口のゴールで先制した岡山が、前半アディショナルタイムにも野口が加点して2-0で前半を終了。鳥取も後半立ち上がりの48分、U-18所属の佐伯が1点を返したが、その後は得点なく、岡山が勝利を収めている。

 鳥取の金鍾成監督はエリートリーグについて「レフェリーも4人来ていただいて、練習試合よりも緊張感がある。選手たちの気持ちは違うと思う」とコメント。この日の会場はJ3リーグの公式戦も実施するチュウブYAJINスタジアムで、観客を入れて開催されたこともあり(入場料は無料)、各選手が公式戦に近い雰囲気でのプレーを経験した。

 岡山の有馬賢二監督も「選手がチームのために自分の力をどう出していくか、という試合の重みそのものは同じだと思いますが、雰囲気や、ホーム・アンド・アウェーでやっていくことで、より気持ちが整ってくる」と語った。岡山はこの日が4試合目のエリートリーグで、「これまでも、エリートリーグで良かったので、リーグ戦で使った選手はたくさんいる」と指揮官が語るように、選手の底上げにつながる貴重な機会となっている。

 この日の岡山はCBの阿部海大が後半途中まで右サイドバックでプレーし、「エリートリーグならでは」(有馬監督)という起用法の幅を広げる狙いもあった。あとは、若手の出場機会を創出するという本来の目的とのバランスを、各クラブがうまく取っていくことによって、エリートリーグは、より有意義なものとなっていくだろう。

現地取材・写真◎石倉利英


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