上写真=左から大前元紀、乾貴士、小林悠(写真◎サッカーマガジン)
3大会連続で新王者誕生
新たな時代の幕開けを感じさせた第84回大会(05年度)。選手権2度目の出場で初の決勝進出を果たした野洲(滋賀)が、連覇を狙う鹿児島実業(鹿児島)を延長戦の末に破り、全国の頂点に立った。圧倒的な個の力を見せつけた野洲は、当時のチームから青木孝太、楠神順平、荒堀謙次、乾貴士、田中雄大の5人ものJリーガーを輩出。美しいパスと華麗なドリブルで魅せた「セクシーフットボール」は、高校サッカー界に大きなインパクトを与えた。
第85回大会(06年度)もフレッシュな顔ぶれが上位に並び、ベスト4のうち3校が国立初登場。そして、どちらが勝っても初優勝となった決勝は、盛岡商業(岩手)が作陽(岡山)との接戦を制し、東北勢として40年ぶりの優勝を果たした。
続く第86回大会(07年度)も実力伯仲の様相を呈するなか、決勝に進出したのは初優勝を狙う流通経済大附柏(千葉)と、4度の優勝を誇る古豪・藤枝東(静岡)。試合開始1時間前にはチケットが売り切れるなど大きな注目を集めた両者の対決は、エース大前元紀が2得点を奪った流通経済大附柏が4-0で圧勝。全日本ユース選手権との2冠を飾った。
◆乾貴士
乾貴士(いぬい・たかし)◎1988年6月2日生まれ。第84、85回(05、06年度)選手権に出場。徹底したポゼッション志向で高校サッカー界に衝撃を与えた野洲高の象徴。変幻自在のドリブルは当時から異彩を放った。高卒で加入した横浜F・マリノスでは輝けなかったが、セレッソ大阪で復活。2011年にドイツに渡り、現在はスペイン1部・エイバルでプレーする。2018年ロシアW杯での活躍も記憶に新しい
◆小林悠
小林悠(こばやし・ゆう)◎1987年9月23日生まれ。第83、84回(04、05年度)選手権に出場。高校時代はMF登録で、同期の太田宏介(現・名古屋グランパス)、小野寺達也(現・テゲバジャーロ宮崎)とチームをけん引した。拓殖大を経て2010年に川崎Fに加入し、キャプテンに就任した2017年にJ1優勝を経験。JリーグMVPと得点王を受賞した。日本代表として14試合出場2得点
◆永井謙佑
永井謙佑(ながい・けんすけ)◎1989年3月5日生まれ。第85回(06年度)選手権に出場。3年時に10番を背負い九州国際大付高を初出場に導くと、1回戦で2得点2アシストの大暴れ。記念すべき初勝利の立役者となった。福岡大を経て2011年に名古屋グランパスに加入。2012年のロンドン五輪では日本の4強進出に大きく貢献した。2017年からFC東京でプレーする
◆伊藤翔
伊藤翔(いとう・しょう)◎1988年7月24日生まれ。第84、85回(05、06年度)選手権に出場。3年生の夏にアーセナル(イングランド)の練習に参加し、ベンゲル監督にも一目置かれたことが話題となった。選手権でも大物の片鱗を見せ、卒業後はフランスのグルノーブルに加入。2010年に清水エスパルスに移籍、横浜F・マリノスを経て、昨季より鹿島アントラーズに在籍する
◆宮澤裕樹
宮澤裕樹(みやざわ・ひろき)◎1989年6月28日生まれ。第85、86回(06、07年度)選手権に出場。2年生で初めて臨んだ選手権の初戦で、2得点2アシストと鮮烈な活躍を見せた。高校時代は点取り屋として名を馳せたが、プロ入り後は中盤に移り、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督就任以降は最終ラインも任される